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感じるブックジャケット(AD)

人間の「思考の渦」を表現したブックジャケット

竹田美織「The detour」

電子書籍では得られない紙の本の魅力のひとつが、手触りや質感だ。ブックジャケットをつけられるのも本ならではの楽しさ。このコーナーではさまざまな質感を持つ竹尾のファインペーパーを使用し、そこに多彩な印刷加工技術を掛け合わせることで、触って感じる新しいブックジャケットを提案していく。

印刷適性が高いパール調の紙

「シャインフェイス」は印刷適性が高いパール調の紙だ。厚さの展開が幅広いため、カードや封筒など複数のツールにも展開しやすい。フェミニンな印象があり品を感じさせる紙でもあるが、あえてそういったイメージから逸脱したデザインのブックジャケットを手がけたのは資生堂 アートディレクター 竹田美織さんだ。

「絵柄の色鮮やかさが際立つよう、ゴールドとシルバーの2種類の光沢のうちシルバーを選びました。かわいらしくまとまったグラフィックではなく少し道を外れていて、破綻している。そんなイメージを絵の具によるドローイングで表現しました。色は黒と黄色、緑と紫の組み合わせの2種類。表紙部分にエンボス加工を施し、手触りを加えています」。

竹田さんが描いたストロークは100パターン以上にも及ぶ。この筆の流れで表現したかったのは、人間の“思考の渦”。背表紙にあるコピー“There is scenery that you can not see unless you make a detour, so it is not a waste of time.”から、その意図を読み解くことができる。

「訳すると、“回り道(detour)をしないと見えない景色もあり、そうして過ごした時間は決して無駄ではありません”。2020年は家で過ごす時間が増え、自身の内面と向き合う中で焦りを感じる人も多かったと思います。そんなとき本を読めば、自分とは違う時間軸や世界に思いを馳せることができる。それは決して無駄なことではなく、これから新しい景色を見るために必要な時間だったのではないか、というメッセージです」。

自宅でひとり、本を読んで過ごす夜。社会から取り残されているような感覚もありつつ、自らの思考の渦に没入していく。そんな静かな時間に寄り添うようなブックジャケットに仕上がっている。

スキンケアブランド「BAUM」アートディレクション

SPIRAL ジュエリーフェア「SUMMER LINE」キービジュアル

    今月使った紙:シャインフェイス

    淡いパール調の光沢を片面にほどこした高級印刷用紙です。光沢はゴールドとシルバーの2種類。厚さの展開が豊富で、封筒、リーフレット、カードなど、幅広いご用途でお使いいただけます。

竹田美織(たけだ・みおり)
デザイン事務所勤務を経て、資生堂にて広告やパッケージのアートディレクションを手がける。主な仕事に、「BAUM」「企業広告」「資生堂パーラー」など。その傍ら、ファッション、ジュエリーブランドのビジュアルディレクターとしても活動の幅を広げる。

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箔押しのために生まれた黒い紙を使った「夜行性」のブックジャケット

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