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建物に込められた思いを未来に継ぐ

250万人以上もの人が訪れる巨大イベント「OSAKA光のルネサンス2019」。そこで披露された大阪市中央公会堂の壁面を使った光のアート作品『Art of Light~Projection Mapping~』を制作したのはNAKED(ネイキッド)と大阪芸術大学アートサイエンス学科の学生を中心とする「0×0=∞PROJECT」のメンバーだ。

2019年12月に開催した「OSAKA 光のルネサンス2019」での大阪市中央公会堂『Art of Light~Projection Mapping~』。

学生たちのアイデアをシナリオにまとめる

「0×0=∞PROJECT」はNAKED(ネイキッド)と大阪芸術大学が、2016年からスタートした取り組み。一般募集した高校生とアートサイエンス学科の1年生約30人が、同学科客員教授であるNAKED村松亮太郎さん、同ディレクターで、同学科非常勤講師である川坂翔さんの指導の元、作品づくりに取り組む。2016年には大阪市中央公会堂でのプロジェクションマッピングを実施。2017、2018年はあべのハルカス展望台でのNAKED(ネイキッド)の展示において、コラボレーション作品を発表した。

本年度のプロジェクションマッピング作品『Art of Light』のコンセプトは、「つぐ」である。100周年の公会堂が次の100年に向けて時代を越えて『継ぐ』縦軸と、大阪から日本の次世代を担う若者や世界へ向けて『告ぐ』横軸で、大阪の歴史文化、人のつながりを未来まで継いでいきたいという願いから生まれているという。

「制作するうえでは“その場所でやる意味”を重視しました。大阪市中央公会堂は、明治から大正に活躍した株式仲買人の岩本栄之助さんが芸術や学業を市民が集って楽しめる場、学べる場をつくりたい、という思いから私財を投じて建てたもの。100年経った今もその思いは継がれています。学生たちにはここでしかできないもの、そこを大切につくろうと話しました」と、川坂さんは話す。

本年度のプロジェクトでは月1回程度の定例の授業に加えて遠隔授業を導入。演出案のアイデア出しに、高校生でも使いやすいようにKeynoteのアニメーションを利用するなど新たな試みも導入した。そして、各グループから出たアイデアを、一つのストーリーのシナリオとしてまとめあげていった。「これだけ注目度の高いプロジェクトに学生のときから参加できる機会はなかなかありません。見る人にとっては、学生がつくったということは関係なく、逆にプロと同じクオリティが求められます。学生のうちにこうした経験ができるのは、これからの人生において大きな糧になると思います」。

プロジェクションマッピングがイベントなどで活用されるようになって、10年弱。NAKED(ネイキッド)は、トップランナーとして現在も国内外でさまざまな展示やイベントを手がけている。本作のコンセプト「つぐ」には、川坂さんをはじめとするNAKED(ネイキッド)の思いも込められている。「僕らのミッションは作品を世に送り出すことだけではありません。次の世代に創造する力を引き継いでいくこと、人材育成していくこともクリエイティブの本質だと考えています。このプロジェクトでは、その一端を担えたのではないかと思います」。

授業の様子。模型を使ってデザインを調整していった。


今回のイベントに参加した学生たち。


NAKED(ネイキッド)
ディレクター
川坂 翔さん

編集協力/大阪芸術大学

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