『そもそも』の意義から考えて作るコンセプトメーカーとしての役割
若くして、国内外の広告・デザイン賞の審査員を数多く務めている電通 上西祐理さん。今年で入社10年目を迎えた上西さんが、アートディレクターとして転機を迎えたのは、ヤングカンヌのコンペに参加したこと。その時の気づきが、デザインに対する考え方を変えたという。
4月11日、2020年就航予定のLCC ZIPAIRの発表会で、SIX 矢後直規さんは同社社長やファッションデザイナーと共にステージに立った。広告会社のアートディレクターがそういう場に立つことは極めて稀なことだが、そこには矢後さんの考えるアートディレクターとしてのあるべき姿がある。
SIX アートディレクター/グラフィックデザイナー 矢後直規(やご・なおのり)
1986年静岡県生まれ。武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科を卒業後、博報堂勤務を経て2013年よりSIXに所属。主な仕事は、エアラインZIPAIRのCI開発クリエイティブ・ディレクション。ラフォーレ原宿LAFORET GRAND BAZAR、森ビルROPPONGI HILLS FASHION、オンワードJOSEPHのイメージビジュアルなどのアートディレクション。矢野顕子、RADWIMPS、THE YELLOW MONKEY、MAN WITH A MISSSIONなどミュージシャンCDジャケットやライブ演出。瀧本幹也、篠山紀信、奥山由之の写真集など。
ここ2、3年で働き方は相当変わりました。以前はプレゼンをやってまた次のプレゼン…と大きな波が次々にありましたが、今は緩やかな波の中で働いている印象です。また、この1年ぐらいで「デザイナーはこれまでに経験したことがない時代の過渡期、変革期にいる」と思うようになりました。メディアが変わり、働き方が変わる中で、誰かがやった仕事をなぞったり、憧れている人を目指したりするのではなく、自分のやり方をもたないとデザイナーとしてやっていけない気がしています。
ひとつは子供が生まれて、親として一人前にならなくてはいけないと思ったこと。自分の価値観をきちんと持って、正しい、正しくないを判断し、きちんと世の中に提示していけるようにならなければ、という意識が強くなりました …