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英VS米のクリスマスCM合戦─クリスマスか、スーパーボウルか?

楓セビル

米国のクリスマスは、英国のクリスマスから始まる。クリスマスそのものではなく、マディソン・アベニューのクリスマスのことだ。つまり、クリスマス用に作られるCMの話題だ。ロンドンの老舗デパート、ジョン・ルイス(John Lewis)のCMが発表されないと、英国も米国のCM合戦も始まらない。ジョン・ルイスは、毎年、真っ先にクリスマス用のCMを発表し、その年のクリスマスCMの基調を作る。

例えば2017年は少年と大きな目を持つモンスターとの友情を描いた「Moz the Monster」、2016年にはクリスマス・ギフトのトランポリンを楽しむ動物たちが登場する「Buster the Boxer」、2015年には、地球に住む少女が月に住むひとりぼっちの老人に望遠鏡を贈る「Man on the Moon」、そして2014年には秀作中の秀作「Monty the Penguin」を発表している。

これらのCMは、クリスマスにふさわしい心温まる小作品だが、こういったCMを通して、ジョン・ルイスのクリスマス・ギフトの質の高さも暗示している。同時に「どうだ、私たちのCMは?」と、他のマーケターたちに密かに挑戦状を送っているようでもある。

プレゼントが人生を変える

待望の2018年のジョン・ルイスのクリスマスCMは、11月に発表された。これまでのように子どもや動物を主役にしたものではなく、英国の誇る音楽家エルトン・ジョンの人生をフィーチャーした(01)。「少年とピアノ(The Boy & The Piano)」というタイトルのこのCMは、もの思わしげにピアノの前に座っているエルトン・ジョンから始まる。

01 ジョン・ルイスの2018年のクリスマスCM「少年とピアノ(The Boy & The Piano)」。エルトン・ジョンの少年時代から現在までの人生をフィーチャーしている。

ピアノのキーに触れるジョン。彼の最初のヒットとなった『僕の歌は君の歌(Your Song)』のメロディーを弾き始める。カメラがパンすると、スーパースターとなった80年代のジョンのコンサート演奏に変わる。次いで70年代のスポーツアリーナのコンサート、バーでピアノのキーを叩くジョン、学校のコンサートで演奏する少年と、だんだん若返ってゆく。最後には、祖母からピアノをプレゼントされた幼児のジョンに戻る。初めて触れるピアノのキー。が、その途端、現在のジョンがピアノの前に座る最初のシーンに戻る。

タグラインは「単なる贈り物以上の贈り物があります(Some Gifts are more than just a gift)」。制作は今回もadam&eveDDB。

このCMは、クリスマス・ギフトが受け取った人の人生を変えるきっかけになり得る大事なものだとほのめかしているが、英国にはこれと同じ路線のものが他にもある。例えば、英国のオンライン・デパート、ベリー(Very)の「エルシーの贈り物(Elsie's gift)」(02)もそう。

02 英国のオンライン・デパート、ベリーの動画CM「エルシーの贈り物(Elsie's gift)」。両親は娘に宇宙飛行士のヘルメットを贈る。

おもちゃの宇宙船で遊ぶ少女エルシーを見て、両親は宇宙飛行士のヘルメットを贈る。その日から彼女は宇宙飛行士になる未来を信じ、宇宙に関する勉強を始める。夢は実現し、彼女は宇宙飛行士となって空に飛び立つ。彼女を見送る老親。タグラインは「自分の才能を見つけられるようなギフトを贈ろう(Find the gift that helps them find their gift)」。

もう1つ紹介したいのは、英国のスーパー、セインズベリーズ(Sainsbury's)のCM「The Big Night」(03)。2018年クリスマスCMのNo.1と謳われた秀作だ …

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