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TCC賞

TCC賞2017 最終審査員講評

2017年度TCC賞 受賞リスト

グランプリ

  • 古川雅之(電通関西支社/電通)
    赤城乳業

    ガリガリ君「値上げ」篇/値上げ/TVCM
  • TCC 賞

  • 麻生哲朗(TUGBOAT)
    住友生命保険

    1UP「海外、向こうで1UP」篇/th[Θ]の発音を、おざなりにしない上田。/WebMovie
  • 福里真一(ワンスカイ)
    サントリー

    BOSS「宇宙人ジョーンズ・昭和」篇/この惑星の昭和は、これからもどこかで、生き続ける。/TVCM
  • 福部明浩(catch)
    大塚製薬

    カロリーメイト「mate」篇/見せてやれ、底力。/TVCM
  • 児島令子(児島令子事務所)
    ストライプインターナショナル

    earth music&ecology/愛さないと、愛は、減る。/ポスター
  • 多田琢(TUGBOAT)、大木秀晃(博報堂ケトル)
    トヨタ自動車

    Vitz「The making of new Vitz story」篇/Vitzはそういう犯罪を是認するのか!
    みたいな正義をやたら振りかざす人、多いでしょ? 最近。/WebMovie
  • 藤井亮、小堀友樹(電通関西支社)
    滋賀県

    石田三成「石田三成CM<第一弾>」/武将と言えば三成/WebMovie
  • 佐々木宏(佐々木宏ジム所)、太田恵美(太田恵美事務所)
    東京都 公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会

    リオ2016大会閉会式東京2020 フラッグハンドオーバーセレモニー/LOVE SPORTS TOKYO 2020
  • 直川隆久(電通関西支社)
    大日本除虫菊

    虫コナーズ「抗弁する男」篇/ぶらさがっていたいんですよ。/ラジオCM
  • 国井美果(ライトパブリシティ)
    伊藤忠商事

    コーポレートメッセージ/ひとりの商人、無数の使命
  • 篠原誠、野崎賢一、佐藤舞葉(電通)
    KDDI

    au「春のトビラ・やってみよう」篇/やってみよう/TVCM
  • 磯島拓矢(電通)
    日本民間放送連盟

    民放連リオ五輪「人類の進化」篇/私たちはオリンピックを発明した/TVCM
  • 秋山晶(ライトパブリシティ)
    キユーピー

    キユーピーマヨネーズ/自然界に単一の色はない。/雑誌
  • 福部明浩(catch)
    大塚製薬

    カロリーメイト「小さな栄養士 チーズ」篇/それは、小さな栄養士。/TVCM
  • 浜島達也、森本泰平、河野孝典(電通)
    日本コカ・コーラ

    ジョージア エメラルドマウンテンブレンド「おつかれ、俺たち」篇/おつかれ 誰だかしらねーけど/TVCM
  • 審査委員長賞

  • 武藤雄一(武藤事務所)
    武蔵コーポレーション

    企業/社員を幸せにできないなら、つぶれろ。/ポスター
  • 関陽子(電通)
    キリンビール

    氷結/言わせとけ。/新聞
  • 角田武(電通)
    宝仙堂

    凄十/バットを寝かすな。/新聞
    • 仲畑貴志(審査委員長)

      今年の審査テーマは「プロの言葉」です。さらに言えば、「広告のプロの言葉」です。広告は効率至上の表現ですから、少ない量で大きな効果。少ない予算で大きな効果。これに尽きる訳ですね。そのようなクライアントの要請に応える言葉を提供し続ける限り、東京コピーライターズクラブは安泰です。さて、今回受賞した表現はいかがでしょうか。審査委員は、プロの言葉を選べているでしょうか?「賞は取ったけど、まったく売れないのよ。」と泣いていた会社がありましたよ。

      秋山晶

      最初は直感に頼った。そして、スタンダードにデザインされたコピーを精読し、映像を凝視した(編集と音に集中した)。視聴者はそうやって広告に接触することはない。今までは、ライブの再録として審査してきたように思う。今年は同じ仕事をしている人として敬意を持って見た。そうすると一見、地味な表現に価値を見出すことができた。審査の速度が遅くなってしまったが。多くの支持を得た"1UP"の企画、コピー、編集が鋭く、的確だったことを覚えている。

      麻生哲朗

      「プロの言葉」基準を受け、CM畑として「時間の中での言葉」に力点を置いてみた。テンポ、間、ニュアンス、前後関係で、言葉が変わる、その技の発見をよりどころに審査に臨んだつもりだ。広告の時間は無限ではない。限られた尺、だから技術がいる。時間の中で駆使する技術を放棄し、逆に時間に甘えてるなと感じた作品は、結果厳しく判断した。自然、Web作品への評価は極端になった。どこを切り取ってもハイクオリティのCMになっているVitzだけ、別格だったと思う。

      安藤隆

      ブラックサンダーは入れようか迷って印をつけたり消したりして結局どうしたのか。気になって最近確かめたら入れていなかった。1年審査員しなかった間に時代がずいぶん変わっているなと印象した。長もののWebCMが爆発的に増えた。審査員の長ものに対するアレルギー的な嫌悪が薄れてみんな静かに受け入れているように見えた。もはや映像の主役はテレビCMではなくWeb映像なのかとさえ思えた。来年部門を分けたとしても何かもう戻らないものがあるだろう。

      磯島拓矢

      「とにかく面白くするぜ!」という熱意あふれたWebムービーが多かったように思います。昨年まで多かった「何となく感動的」なWebムービーよりはずっと良いと思うのですが、広告というよりバラエティ番組化するこれらムービーのどの言葉をどう褒めたらいいのか、ちょっと悩んでしまいました。とにかく人に言いたくなる(シェアしたくなる)情報満載の象印マホービン。「あるある」の先の幸福感が素敵なマリエール。賞は逃しましたが、この2つのファイナリストは好きでした。

      一倉宏

      グランプリが「ガリガリ君」で、最高新人賞に「ブラックサンダー」というのは、偶然にしては出来過ぎのような気がします。デフレやポピュリズムの時代を象徴しているのかな(笑)。TCC賞にも、大型企画、大作シリーズに混じって、小気味のよいアイデアものが入っています。評価の基準も多様化してきていると思う。個人的には、伊藤忠商事のぶれない企業広告や、賞の選外でしたがBEAMSのWebムービーのディテールの見事さに、票を投じました。

      井村光明

      オリンピックの閉会式がTCC年鑑に載っている。世の中でアートディレクターの活躍が目立つ一方で、コピーライターは、やや窮屈そうに見えてはいなかったでしょうか。広告の枠を越えて、ということではなく、言葉だけにとどまらないスキルが証明されたようで、同じコピーライターの端くれとして誇らしく思いました。ちなみに新人賞ですが、「今年、2万人のヒーローが引退します。」も加えてあげたかったなあ。

      岩田純平

      TCC賞の中で特に好きだったのは滋賀県の「石田三成」でした。広告やテレビが元気だった頃のような自由な発想とセンス、完成度で、初めて見た時は嫉妬を通り越して軽い恐怖すら覚えました。でも、個人的なグランプリは宝島社の「あたらしい服を、さがそう。」と氷結の「言わせとけ。」でした。世の中に響く一行の力。自分がやりたかったことを先にやられてしまった悔しさも含め、最高でした。コピーにできること、まだまだあるんだなあ、と。

      太田恵美

      "ソレ"の可笑しさや健気さに真実があると気づくことはコピーライターの仕事だが、その先、文字や音にするにはまた力がいる。特に後者の荷の重さに日々苦労している人は多いだろう。ここで入力を間違えると、驚くほどその広告は人の気持ちから遠くからだ。そのことをまた思い知らされた。常連の受賞作はもちろんだが、コピーライターを刺激してくれる仕事は今回も山のようにあった。ぜひファイナリストも合わせてご覧いただきたいと思う。

      尾形真理子

      言いにくいことを、嫌われずに言う。それどころか、言いにくいことを言って、ますます愛される。広告の、コピーの、最高峰だと思います。「値上げ」でグランプリ、おめでとうございます!今年、審査をしていて感じたのは「効果を生み出している言葉は、まったく苦にならない」ということ。見る人、聞く人に負担をかけず、すーっと伝えてくれる。その気持ちよさがあるものが、賞にも選ばれている気がします。

      岡本欣也

      よく言われることですが、やはりいい広告ほど、時代や世相と合わせ鏡になっている。要は商品や企業を宣伝する時に、そこだけにフォーカスするのではなく、一歩も二歩も引いたところからものごとを広く捉える。その周りにある社会のうねりのようなもの、時にはバッドニュースまでひっくるめて、表現のエネルギーに変換してしまう。受賞しつづけているBOSS。今年で言えばガリガリ君。いや、どの受賞作もみな多かれ少なかれ、そういう視座でつくられている。いいものって、そういうことだと思う。

      小野田隆雄

      今年のTCC賞全体について、いちばん感じたことは、「フレーズからセンテンスへ」ということである。「一行の力」が広告文の最高の武器である時代が長く続いた。それは印刷媒体とテレビ広告(15秒、30秒、60秒という基本単位において)を中心に威力を発揮した。しかしWebムービーの台頭が顕著になってくると、一行のフレーズで広告をカッコにくくることは難しくなった。作詞、シナリオ、小説、広告の垣根が飛ぶ?ラジオはどうなるか? ...

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