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日本カルチャーを後押しするデザイン

染谷洋平

映画「君の名は。」、アニメ「魔法少女まどか☆マギカ」、ももいろクローバーZなど、日本カルチャーを代表する人気コンテンツは近年、海外からの注目度も高い。これらのデザインを多く手がける制作会社BALCOLONY.で、チーフデザイナーを務めているのが染谷洋平さんである。

映画「君の名は。」ポスター (C)2016「君の名は。」製作委員会

やりたいことを実現するために、自分で自分をプロデュース

映画「君の名は。」、アニメ「魔法少女まどか☆マギカ」、アニメ「ラブライブ!」などのポスターやパッケージ、ツールなどをデザインする染谷洋平さんは大阪芸術大学芸術計画学科卒業後、販促ツールを扱う広告制作会社にデザイナーとして就職。DMのデザインを担当していたが、「もともと好きだったアニメや漫画の仕事がしたい」と転職を決意。BALCOLONY.を設立した生本訓昭さんに誘われ、同社に入社した。

当時のBALCOLONY.は、音楽系の仕事が多かった。そんな中、染谷さんの気持ちは変わらず、2006年に同人誌『オタクとデザイン』を自費出版でつくる。同誌は漫画・アニメ・ゲームジャンルのデザインに焦点を当てた評論誌で、取材・執筆・編集・販売に至るまで全てを1人で手がけた。

「僕自身が読みたいものだったし、自分の考えを雑誌で発表することで、多くの人と繋がることができれば、と考えました」。これをコミケや同人誌専門書店で販売したところ、漫画編集者やアニメプロデューサーの目に留まり、オタク関連の仕事の依頼が増加。DMなどの販促ツールの制作で培った経験を生かし、新たな仕事の領域を開拓した。

こうした仕事の広げ方は、大阪芸術大学芸術計画学科で学んだメソッドだと染谷さんは振り返る。「芸術計画学科はデザインができる人間を育てるのではなく、デザインをビジネスに結びつける方法を学ぶ場。僕のようにデザインやその周辺が好きで、特別な技術を持たない人でも、やり方次第でカルチャーやアートに関わることができることを学びました」。染谷さんは自分が取った方法は、デザイナーとして正攻法ではないとも言い切る。

「やりたいデザインを実現させるために、一番効率の良い方法を考えた結果で、自分で自分をプロデュースしたとも言えるかもしれません。デザイン賞、著名なクリエイティブエージェーンシーなどに縁がないデザイナーでもどうすれば仕事を続けていけるか。一つの答えの出し方でもあると思います」。

同人誌『オタクとデザイン』は3号で終了したが、それを発展させて、今後オタクの老い方を考えるメディアを立ち上げることも計画中だ。そんな染谷さんの独自の視点は、日本のカルチャーコンテンツが国内外で今後さらなる発展を遂げる上で、大きな一助となるだろう。

「劇場版 魔法少女まどか☆マギカ[新編]叛逆の物語」ポスター (C)Magica Quartet/Aniplex・Madoka Movie Project Rebellion

映画「聲の形」ポスター (C)大今良時・講談社/映画聲の形製作委員会

集英社「マーガレット」2016年2号 (C)池田理代子プロダクション

染谷洋平(そめたに・ようへい)
大阪芸術大学芸術計画学科卒業。現在はBALCOLONY.のチーフデザイナーとして、コミック装丁、アニメBD・DVDパッケージ、広告デザイン、コミック装丁、ゲームUIなど二次元キャラクター領域を中心に活動中。

編集協力/大阪芸術大学

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