IDEA AND CREATIVITY
クリエイティブの専門メディア

           

東京2020 五輪 エンブレムデザインを考える

インターネットによって コピーキャット問題は増加している

ジョー・ラ・ポンプ(ブロガー)

広告の「コピーキャットハンター」として、世界の膨大な事例を収集・公開してきたフランス人ブロガーは、類似とオリジナリティの境界線をどう見るのか。

検索によって時間を浪費し
チェックを怠るデザイナーたち

インターネット以前、剽窃することは簡単でした。デザイナーたちは誰にも知られていないような古い本を見ればよかったのですから。インターネットによってこの手の問題は減ると私は考えていましたが、驚いたことに結果は逆でした。少なくとも私の専門分野(テレビCM、プリント&アウトドア)では毎日のように新しい事例を見つけることができます。これは世界的な現象です。「オリジナルとは言いきれない」事例の収集数は、1999年にこの活動を開始して以来、1300にも上ります。

インターネットは膨大な量が検索でき、かつなかなか目的のものにはたどりつけません。その結果、多くのデザイナーが時間を浪費し、時間切れになって、オリジナリティのチェックを時間の無駄と考えます。しかしその考え方は間違っています。

オリジナリティとは何か?

剽窃と偶然の一致の境目は、多くの場合あいまいです。ほとんどの場合、はっきり盗作か偶然の一致かは指摘できません。私のブログ(http://www.joelapompe.net/)の「ベストセレクション」を見てもらえば、その判断は容易でないとわかるでしょう。私が探しているのは、明らかな見た目の一致かアイデアの類似が認められるものです。オリジナルアイデアとは「これまで誰もやったことのない」アイデアです。少なくともグラフィックデザインの領域ではそうです。類似の問題など遠くに押しやってしまい、「なぜ自分はこれまで思いつかなかったのだろう?!」と思わせるもの。魔法を見ているような感覚を人に引き起こすもの。クリエイティブの人間にとっては、力の限りこうした作品を数多く生み出すことこそ、この仕事の醍醐味であり、すばらしさでしょう。そしてそれは本当に大変なことだと思います。

オリジナリティについて考える時、謙虚な気持ちで次の大事なポイントに気づかなければなりません。 1.あなたが自分の頭で考えたアイデアは、必ずしも世の中でオリジナルとは限らない。誰かが前に同じことを思いついていることはあるのです! …

あと36%

この記事は有料会員限定です。購読お申込みで続きをお読みいただけます。

お得なセットプランへの申込みはこちら

東京2020 五輪 エンブレムデザインを考える の記事一覧

プロデザイナーにとって知的財産権マネジメントとは何か
インターネットによって コピーキャット問題は増加している(この記事です)

おすすめの連載

特集・連載一覧をみる
ブレーンTopへ戻る