デザインが類似する、またはオリジナルであるという判断は、法の観点からはどのようになされるのか?知的財産権やデザインマネジメントを専門とする日髙一樹弁理士に聞く。
商標権
● 産業(商業)利用されるものが対象
● 登録主義
● 保護期間:登録から10年(更新可能)
● 商標侵害の判断基準:
(1)商標として識別性があるか
(2)指定商品・サービスのカテゴリ内で
(3)類似性のある他の商標が登録されているか
著作権
● 思想・感情を表現した文芸、美術、音楽などの創作物が対象
● 創作と同時発生(無方式主義)
● 保護期間:著作物を創作した時点から著作者の死後50年
(法人著作は公表から50年、映画は70年)
● 著作権侵害の判断基準:
(1)著作物性
(2)依拠性
(1)類似性
独自創作であることを
証明する義務がある
ロゴ・シンボルマークで類似の問題が起きるのは、商標権と著作権があり、それぞれ考え方が異なります。商標権は業務上の信頼と、需要者の利益保護を目的とした「産業財産権」で特許庁での登録が必要となります。類否判断の基本原則は、営業標識として誤認混同を起こさないかです。
商標の主な機能は3つです。
1.出所表示機能(自社の商品と他社の商品を区別する)
2.品質保証機能(同じ商標の商品が同等の品質であることを保証する)
3.広告・宣伝機能(消費者にブランドとして記憶される)。
出所表示機能という観点から見れば、商品分野などのカテゴリが違えば出所を誤認する可能性はないので、類似するデザインでも基本的に問題ありません(商標は新規創作を保護するものではなく、商標使用者の信頼の保護が最大の目的)。例えば「イオス」という商標はキヤノン、ヤマハ共に異なったカテゴリで別々に商標登録されています。
東京2020のエンブレムはどのようなカテゴリに出願されているか不明ですが、劇場運営とはカテゴリが違いますし、そもそも …