髭を剃った方がセクシー? ジレットがカミソリを売るために仕掛けた戦略PR。
4月になりました。新学期。新年度。新生活。不安と期待の入り混じった、そんなムードの時期。このコラムの読者にも、ひょっとしたら広報PRの仕事に着任したばかりで、やや挙動不審な方もいらっしゃるかもですね。10ウン年前の僕のように......(遠い目)。さて、新生活の始まりは「新しい習慣」を身につける絶好のタイミングでもある。がしかし、それが、「1億人の男性に髭を剃らせる」という壮大な目標だったら─今回は、インドを舞台にした戦略PRの成功例をご紹介しよう。
キャンペーンを展開したのは、世界的なカミソリメーカーのジレット。世界有数のシェアを誇るブランドだが、男性総人口が5億人を超えるインドでは苦戦していた。ここで皆さん「インド人男性」をイメージしてほしい。何となく、「ヒゲがある男」を想像したのでは?─そう、実際にインド人にも「髭があったほうがイケメン」という認識が根強くあった。これではいくらカミソリを宣伝したところで、売れるわけはない。さてどうするか。ジレットがとった戦略はこうだ。まずインド社会に「髭を剃ったほうがイケメンかもしれない」という空気を醸成し、男性たちの関心を集める。そのうえで、大々的な商品キャンペーンを展開し、購入を促進させる。
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