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テレビ広告の価値を可視化!電通がPoCを開始した2つの新たなソリューションとは?

電通

KPIを重視するマーケティングの進化やビッグデータ活用の普及、デジタル技術の進化に伴い、テレビ広告に求められる価値が多様化している。効果を測定し、より分かりやすく可視化したり、マーケティング目標に応じて詳細なチューニングをしたりと、これまで以上に使いやすさが求められるようになってきた。電通では広告主、そしてメディア企業の時代に合わせたニーズを捉えながら、テレビ広告を進化させる新たな取り組みを進めている。ここでは最近、電通がPoCを行った2つのソリューションを紹介。テレビ広告の未来を変える可能性を秘めたその試みについて、同社の伊藤亜実氏、瀧川裕太氏、吉村美郁氏の3名に話を聞いた。

(左から)
電通 ビジネスディベロップメント 推進部 伊藤亜実氏
電通 データ推進部 吉村美郁氏
電通 テレビ市場開発部 瀧川裕太氏

新しいテレビ広告の鍵を握る2つのソリューションとは?

近年、デジタル広告が躍進した背景には各種の効果が可視化しやすく、リアルタイムで、その最適化を検証できる、つまりは運用型の広告施策の実行がしやすかったことが背景にある。

デジタルで始まった運用型という出稿スタイルは、企業のマーケティングに対する意識全般に影響を与え、広告メディアの雄とも言えるテレビ広告にも進化を迫ってきた。

電通ではこうした社会環境の変化にいち早く対応し、企業の事業成長に寄与する「広告の高度化・高速化」に取り組んできた。同社では、その取り組みをAX(Advertising Transformation:高度化された広告コミュニケーション)と名付け、テレビだけでなくマスメディアにかかわる各種部門が連携し、その歩みを進めている。同社ビジネスディベロップメント推進部の伊藤亜実氏は、そうした流れについて次のように説明する。

「デジタル広告は、広告がリーチしたか否か。どんな人にリーチしたのかがある程度、可視化できます。デジタルが広告として使いやすいメディアだと言えるのは、こうした特性からマーケティングプランニングをしやすいという利点があるから。一方で、これらはテレビ広告が弱い部分であり、だからこそPDCAを回しにくいという欠点が指摘されてきました。私たちは、この弱点を解消するため、国内でもっとも多くの広告主、そしてメディアと取引の実績を重ねてきた強みを活かし、これまでに数多くのソリューションを開発してきました」。中でも、今後の新しいテレビ広告の鍵を握る2つのソリューションが「RICH FLOW(リッチフロー)」や、その機能をよりブーストする「SHAREST ReachPlanner(シェアレスト・リーチプランナー:以下、SRP)」だ。

気象条件や来店率で枠を組み替え トリガー基点の広告出稿を実現

「RICH FLOW」は、ターゲットの予測視聴率や天候予測をもとに、高いCM接触効果を狙えるスポット枠の組み換えを行う「接触最適化ソリューション」だ。

同ソリューションについてテレビ市場開発部 瀧川裕太氏は、次のように解説する。「広告主がテレビ広告のスポット枠を購入する際には、2カ月ほど前に正式発注を行う必要があり、購入後は出稿期間も出稿量も変更できませんでした。しかし、特に気温などの気象環境が売れ行きに与える影響の多い商材などでは、もっと柔軟に状況に合わせたバイイングや入稿を実現してほしいという要望が多くありました。『RICH FLOW』は、まさにこうしたニーズに応える形で実現したものです」。

「RICH FLOW」では、広告主企業にとって最適な「枠条件」のことを“トリガー”と呼ぶ。気象条件や来店率、花粉の飛散状況の他、各クライアントが持っているデータをかけ合わせることで最適な広告枠のヒートマップが作成できる。瀧川氏は、「トリガーに合わせた『柔軟な枠の組み換え』が『RICH FLOW』では可能になります。それに基づきPDCAを回しつつ1GRPあたりの価値を高めることができるため、PoCに参加した企業がその点を高く評価してくださいました」と述べた。

「RICH FlOW」の仕組み
「RICH FlOW」を活用した運用型テレビスポット広告のPoCを実施。参加した広告主企業は10キャンペーンずつ3カ月にわたって調査し、合計で36キャンペーンとなった。中でも顕著な成果が現れた事例について瀧川氏は「ある飲料メーカーのケースでは、事前分析で暑い日に広告を流す方が売上に寄与しそうだと判断し、実施期間中に全体枠の20%を、天気予報が暑い日に組み替えることができました。また飲食チェーンのケースでは、テレビCMを流す目的は店舗来訪を増やすこととし、来店者データとテレビ視聴データを突合させて、来店率が高い枠への組み換えを実施。想定来店者を約20%、改善することができました」と説明する。

“リーチ”を最適化するプラン 運用負荷を低減できる体制確立

2つ目のPoC段階にあるソリューションが「SRP」だ。「SRP」は、AIによる予測視聴率を用いて想定リーチを算出し、効率的で最適な作案ができる「リーチ最適化プランニングソリューション」である。

同ソリューションについて、データ推進部の吉村美郁氏は次のように解説する。「放送と配信のトータルリーチという広告主ニーズに応えるため、『SRP』が実現することは大きく2つあります。ひとつ目が”テレビCMプランの想定リーチの算出”であり、もうひとつがどの枠を購入するとリーチを効率的に伸ばすことができるかをシミュレーションする“枠の最適化機能”です」。

そもそも、視聴率パネル個人のテレビ視聴行動を予測することが非常に困難なため、プランニング段階でリーチの予想値を算出することは難しい。「SRP」は、視聴率パネルから算出される正解リーチの予測を実現すべく、開発と精度検証を重ねてきた。それが、「Sharestの予測視聴率を用いることで、高精度かつ運用負荷の少ない現実的なソリューションが確立できた」と吉村氏は言う。

さらに具体的な枠レベルでのリーチマックスプランニングを行うことで、オーバーフリークエンシーを軽減する効果も生まれた。吉村氏は、将来的には枠のリーチ最適化も実現できるよう、次の一手に取り組んでいると述べた。

今後の展望について、データ推進部でテレビの価値の証明に取り組む吉村氏は次のように述べる。「私たちの部署では、『テレビの未来』という議題がよく上がります。未来を考えるにあたっては、あらゆるテレビコンテンツとの接触機会の現状を知ることや、共通の価値指標が必要です。『SRP』をはじめ、“トータルリーチ”という観点からテレビを通じた広告体験の価値を証明していきたいですね」。

最後に、瀧川氏は「昔のようにテレビCMを流して終わるのではなく、PDCAが重要な時代になっています。テレビCMにどれだけの価値や効果があるのかを経営サイドや株主に説明できなければ受け入れてもらえなくなっている。今後は、デジタルメディアとのシナジー効果を高めながら、お客さまの広告費をいかに効率よく運用できるかを考えていきたい。そこから次なるマーケティング課題も発見できるはずです」と締めくくった。

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