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本気の「見える化」と「最適化」で実現するワンチームで取り組む、「運用型」広告

dentsu Japan

「MIERO」ダッシュボードの共有進む、「ワンチーム化」

電通グループは2021年1月、各メディア・コンテンツ部門の各局を横断した組織体である「MCx(メディア・コンテンツトランスフォーメーション)プロジェクト」を発足させた。MCxは「AX」「BX」「コンテンツソリューションネットワーク」の3つのチームから構成され、各メディア局(ラテ、新聞、出版、OOH)、コンテンツ、スポーツを中心に、デジタルマーケティング、ソリューション部門などのメンバーが集まる。社内横断組織「MCx」の活動を紹介する連載第2回は、広告領域に大きなイノベーションを起こし、これまでにない効率化・効果の最大化を実現すべく活動を続ける「AX(Advertising Transformation)」チームメンバーの最新の取り組みに迫る。

OOH局 佐藤良紀氏(左上)
ラジオテレビビジネスプロデュース局 足木勇介氏(右上)
データ・テクノロジーセンター 榎本文美子氏(左下)
ラジオテレビビジネスプロデュース局 田中淳泰氏(右下)

「MIERO」ダッシュボードの共有進む「ワンチーム」化

電通内に発足した各分野のプロが集結した社内横断組織であるMCxを構成する3チームのひとつ、AXチームは、広告コミュニケーションの高度化・深化の推進を担う。

様々なプロジェクトが進んでいるAXだが、特に大きな動きを見せているのが、広告効果を可視化する統合ダッシュボード「MIERO」とDOOHの領域だ。

日常的にクライアントに接しているAXチームのメンバーは、昨今のクライアントが抱える課題の特徴を「見える化」と「最適化」であると捉えており、この課題解決に資するのが先の2つの領域なのだという。

「見える化」と「最適化」の実現に際して欠かせないのがデータだ。しかしデータの活用は必須ではあるものの、データ量が増加し続けていった結果、データの収集、集計、レポート作成、意思決定と主には4つの領域で実行に際して課題を抱える企業が増えている。

この課題を解決するためのソリューションとして、AXチームが開発したのが前述の「MIERO」なのだ。「MIERO」とはMarketing Integration Effect Reading&Operationの略称で、電通・電通デジタルが提供するダッシュボード群である。

これまで提供してきたデジタル広告モニタリングシステム「EASIMonitoring」及びテレビCM効果可視化システム「レスポンスコネクター」も統合されている。複合的に広告出稿をした場合であっても、「MIERO」があれば、その成果を分かりやすく、かつリアルタイムで可視化。データの収集・集計・レポーティングを自動化することで、PDCAを高速化し、より多くの時間を意思決定に費やすことを可能にしている。

図1「MIERO」の特徴
「MIERO」は「MIERO Digi×TV(以下デジテレ)」、「MIERO Response Connector Dashboard(レスコネ)」、「MIERO Digital」、「MIERO Premium」の4つのラインアップで構成される。なかでもテレビ・デジタル動画統合管理ダッシュボード「デジテレ」はテレビとデジタル動画をひとつのメディアとして捉え、テレビ・デジタルの統合リーチの算出や、エリア・性・年代ごとのリーチの可視化が日次単位で可能となり、テレビ・デジタル双方の運用効率化と、マーケティング戦略における迅速な意思決定をサポートする。

「いち企業で広告の効果を可視化する各種データを収集するのは難しい面があります。その点、『MIERO』を導入すれば、基盤となるデータはすでに準備されていますし、プラットフォーム企業との関係性などがあって、当社だからこそ活用可能なデータも統合できます。このデータ基盤があったうえで、クライアント企業側のデータも統合し、カスタマイズした形でダッシュボードを提供しています」(榎本文美子氏)。

また「MIERO」は、テレビの効果もデジタルと同じように可視化できる点に強みがある。従来はPDCAが回しづらいといわれたテレビでも、デジタルのような運用型の出稿が可能になる。これにより、クライアントとの関係性も変わってきているという。「キャンペーン単位の関係性から、事業成長への貢献を目標に、広告コミュニケーションをより良いものに改善し続ける“伴走”の役割が求められています。同じダッシュボードを見ながら、ひとつのチームとなって動いていくケースが増えています」(田中淳泰氏)。

生活者が行動を起こすきっかけ「トリガー」を広告に活用

「見える化」の解決策としての「MIERO」に対して、「最適化」の解決策については電通が長く力を入れてきたAI活用の研究がベースになっている。

同社では2016年から人工知能の研究及びビジネス開発に取り組んできた。足木勇介氏は、そのプロジェクトに長く参加をしてきたメンバーのひとりだ。「最初はAIを活用した視聴率予測のプロジェクトに従事。様々なデータを、AIを使って解析することで、より精度の高い視聴率予測に取り組んできました。その後、2022年には、AIを活用してテレビ広告枠の柔軟な運用を可能にする『RICHFLOW』をリリース。最適な広告枠の組み換えと広告素材のアロケーションの組み合わせパターンを、AIが短時間で効率的に探索する制御機能を実装しました」(足木氏)。

しかし運用していく過程で、足木氏は「RICHFLOW」だけだと、細かいチューニングに足りない部分があることに気づいたという。より高度な最適化のためのチューニングにおいて、着目したのが「トリガー」だ。「生活者が行動を起こすきっかけになるトリガーに着目することで、最も広告の効果が高まる瞬間をとらえることが可能になると考えました。例えば、清涼飲料にとっては、気温の上昇がトリガーになるので、それを捉えて広告を組み換える、などです」(足木氏)。

商材によって、最も適切な生活者に働きかけるタイミングは変わってくる。それはすなわち、価値ある広告枠が、クライアントによって大きく変わるということ。特定の枠だけでなく、クライアントの関心が複数の枠に分散していく。「最適化」という言葉には、広告市場全体を俯瞰で見た際の意味合いもありそうだ。複数のメディアへの出稿に際してもトリガーに着目することで、より効果の高い広告枠のプランニングを実現させてきたAXチーム。オフラインのテレビも、その範疇に組み込んできたが、これまで統合的なメディアプランニングに組み込みづらかったOOHも射程に入れている。電通では2019年にNTTドコモ(以下、ドコモ)とDOOH広告の新会社「LIVEBOARD」を設立。「ドコモさんの膨大な位置情報データ、アンケートデータ、属性データ、契約者情報などを活用して、ターゲティング、効果測定ができます。さらに全国の広告枠をネットワーク化しているので、ターゲットに合わせ、最適なプランニングも可能になっています」(佐藤良紀氏)。

このようにDOOHの使い勝手がよくなったことで、統合的なメディアプランニングに組み込みやすくなってきているのだ。「まずはDOOHとテレビ、そしてデジタル広告も連動させることでより立体的で、有用な顧客体験をデザインしていきたいと思っています」と佐藤氏は進化した広告の未来の構想を語った。

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