老舗ファッションブランド・アニエスベージャパン。2021年度よりマーケティング部体制を強化しブランド体感型イベントの実施やEC、デジタル、CRMを統合したコミュニケーションでリノベーションを図っている。同社が目指すDXとは?ブランド&デジタル部ディレクターのブノワ ピケ氏と馬場初稀氏に聞いた。
ブランドイメージを崩さず国内向けのアプローチを模索
1976年にフランス・パリのルーデュ ジュールに第1号店をオープンしたアニエスベー。年齢性別問わず、誰にでも似合い、長く着ることができるデザインで愛されてきた。約40年前日本に上陸し、フランス発の洗練されたブランドとして支持を集め、現在国内だけで134店舗を展開する。最近では京都・祇園にブランドの世界観が楽しめるカフェ&ブティックを新規オープンするなど、ファッションブランドにとどまらない事業にも力を入れてきた。
そんな同社がデジタル施策を強化したのは約2年前。同時期に着任したブランド&デジタル部のピケ ブノワ氏は次のように振り返る。「グローバルブランドであるため、お客さまに発信するコンテンツは全て本社から送られてくる素材を活用していました。歴史もストーリーもあるブランドなので、そうしたコンテンツは既存のお客さまに対するアプローチとしては効果があったと思います。一方でアパレル業界共通の課題であるブランドの若返り化を目指すためには、国内の新規のお客さまにも刺さるコンテンツが必要でした」。
そこで同社はマーケティング部体制を強化、デジタルチームを増員し、国内に特化したコンテンツ施策を始めた。「コンテンツを外注するという選択肢もありますが、我々の武器はブランド力です。お客さまの持つブランドに対するイメージを崩さないコンテンツの制作をするために全て内製で行うことにしました」(ブノワ氏)。
メルマガは最大で5パターン制作 コミュニケーションの最適化
「体感として実感がないだけで実はデジタル戦略におけるコスト回収のハードルは想像以上に高く、デジタルを起点とした売上拡張は簡単なことではないです」と語るのは同部の馬場初稀氏だ
実際、同社の購買は店舗での比率が約8割強を占めるという。「デジタルの利点はお客さまに対して、データ分析をもとにした心地よいコミュニケーションが早い段階で提供できること。私たちのデジタルマーケティングはとにかく顧客の解像度を上げるサポートに徹したいと考えています」(馬場氏)。
LINEとメルマガの位置付け...