次世代を担う若手マーケター・クリエイターを紹介する本連載。新たな時代を担うホープたちはどのようなポテンシャルを秘めているのだろうか。今回はアシックスジャパン カテゴリーマーケティングチームで活躍する城島大河さんに話を聞いた。
情報解禁から発売までロイヤルティを築く
日本発のスポーツ用品メーカーであるアシックス。売上全体の半分以上が「ランニングに関わるアイテム」であり、「中期経営計画2023」においても、「ランニングシューズのマーケットシェアでNo.1」を掲げている。またその実現に際しては、各カテゴリーが収益責任を負うカテゴリー基軸体制を導入している。
ランナーが快適に走ることができ、優れたパフォーマンスを発揮できるように機能性をもたせたランニングシューズを展開するパフォーマンスランニングフットウエア部でカテゴリーマーケティングチームに所属しているのが、入社4年目の若手マーケター城島大河さんだ。
入社後、約2年間はデジタルマーケティングを担当。特に印象的だったのが1年目に担当したトップアスリート向けのランニングシューズ「METASPEED(メタスピード)」シリーズだ。
2021年には、ランニングシューズ業界に携わる人が注目する箱根駅伝において、アシックスのシューズを着用するランナーはゼロだった。「メタスピード」はそんな状況のなか開発されたアスリートの武器となる戦略的商品だったのだ。「アシックスの存在感を復活させるため、期待を背負った商品のデジタルマーケティング戦略を任され、プレッシャーもありましたが気合いも入りました」(城島さん)。
発売前の期待感を創出するためにティザーサイトを開設。訪れたユーザーにメールアドレスを登録してもらう設計を施し、発売時にコミュニケーションが取れるようにした。当時、アシックスでは発売前から行うコミュニケーション施策の実績はあまりなかったと言う。
「商品名や商品写真も公開できないという中で、ボストンにあるデジタル拠点と密に連携しながら、お客さまに伝えるメッセージを考えました」(城島さん)...