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米国広告マーケティング事情

米企業大注目の『ザルファ世代』(Z+アルファ)とは?

松本泰輔

各世代の定義は異なる場合もあるが、Z世代は大体1995年前後から2010年頃までに生まれた世代。それに続くアルファ世代は、2010年前後から2025年までに生まれた世代を指す。その2つの世代を合わせた言葉「ザルファ(Z+アルファ)」が、2022年後半からマーケティング業界で頻繁に使われるようになった。近い将来彼らは米市場の中心となり、社会を大きく動かす存在になるといわれ、米企業は彼らの心を掴む機会を狙っている。

Z世代の可処分所得は50兆円 アルファ世代の年間世帯消費は70兆円

直近の調べでは、Z世代の年間可処分所得(世帯総収入ー税金・社会保険料)は3600億ドル※1(50兆円)、アルファ世代の年間世帯消費は5000億ドル※2(70兆円)と膨大な消費力を持つといわれている。

※1 https://www.prnewswire.com/news-releases/new-research-gen-zs-disposable-income-reaches-360-billion-301424571.html

※2 https://www.forbes.com/sites/bryanpearson/2021/10/11/generation-alpha-may-be-the-malls-best-future-bet/?sh=85b30827bd14

この“ザルファ世代”というキーワードは「10~20代向けアクセサリーチェーン店Claire’sのCMOクリスティン・パトリック氏が提唱し広めた」とニューヨーク・タイムズ紙が報じている。

同社のアクセサリーは最低1ドルからと手頃な価格設定で、ザルファ世代が中心的顧客となっている。2022年末、同社はオンラインゲームRoblox内に、ユーザー同士が遊んだり買い物ができるコミュニティ「ShimmerVille」をつくり、公開した。パトリック氏は「フィジカル(店舗)とデジタル(オンライン)両面の“Phygital”(フィジタル)経験を顧客に提供します」とプレスで発表した。

さらに同社はTikTokクリエイターとして4人のインターンを雇い、ザルファ世代をターゲットに動画を投稿させている。「大学生をClaire’sのブランド大使としてエンゲージさせることは、特にTikTokにおいて重要なことだと認識しています」と同氏はNYタイムズ紙に語っている。

(1)Claire’s

Roblox内のClaire’sコミュニティ「ShimmerVille」(❶、❷)。ザルファ世代が集まりいっしょに遊んで交流を深める場所だ。「ザルファ世代」という言葉を流行させたClaire’sは、早くから積極的に大学生TikTokクリエイターを抜擢し成功を収めている(❸、❹)。最低価格1ドルからというアクセサリーは、ザルファ世代でも十分手が届く価格帯であり極めて重要な顧客層だ。

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