2023年に入ってからTikTokでは米国のZ世代を中心に「『De-influencing』と呼ばれる投稿が殺到し、社会現象となっている」と大手メディアが報じている。社会現象となっているキーワード「De-influencing」の由来は動詞の前に接頭語Deを付けると「~を解除する・~から離れる」と単語が逆の意味になることだ。
たとえばRegulate(規制化する)にDeをつけるとDeregulate(規制解除・撤廃する)に、Nuclearize(核武装させる)はDenuclearize(非核化する)となる。つまりInfluencingは(買うように影響を及ぼす・説得すること)という意味なので、De-influencingは(買わないように説得すること)になる。
したがってDe-influencingキャンペーンとは「商品Aを買うのをやめましょう」と説得する動画・アクションを指しているのだ。2023年前半、一般的に馴染みのなかった用語Deinfluencingがニュースとして報道され、トレンドワードとして米国で一気に広まっている。
「De-Influencing」米国で一大ブームになった背景
それではなぜ今、De-influencingなのか。これについて専門家は「SNSにおけるTransparency/Authenticity(透明性・信頼性)に疑問に感じる消費者が増えたから」と指摘する。これまでTikTokでは、インフルエンサーが紹介する製品を妄信的に購入する消費者が多かった。インフルエンサーの多くは企業からの依頼により動画を制作し、報酬を得ている。
しかし昨年、商品について肯定的な意見だけを述べて買わせようとするインフルエンサーに懐疑的な目が向けられ始め、#TikTokMadeMeBuyIt(TikTokが私に買わせた)というハッシュタグが誕生。その結果、疑わしいと思われたインフルエンサーはフォローを外されるようになり、信頼を取り戻すべく「良くないものは良くないと正直な意見を述べよう」という風潮が生まれた。そして1月初旬、あるインフルエンサーが#deinfluencingを付けて「買うべき価値のない商品」を紹介したところ、無条件の奨励に辟易していた消費者に受け入れられた。
(1)TikTokでの投稿
Z世代にウケた バイアス、忖度のない正直な意見
「デジタルネイティブであるZ世代は、透明性・信頼性に敏感で、フェイクニュースを嫌い、企業や商品の事実を企業HPなどで調べる労力をいとわない」とデジタルマーケティング会社パラレル・パスのベラ・マルコーニ氏は指摘する。4月時点でTikTokにおける#deinfluencingの...