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米国広告マーケティング事情

30秒9億円超の広告枠の舞台裏で白熱する裏スーパーボウルCM

松本泰輔

「みんながCMを見る日」として有名なNFLスーパーボウルが2月12日に開催された。今年の30秒CM平均単価は700万ドル(約9.23億円)と、昨年の650万ドルから7.7%増となった。過去3年間続く経済不況のなか、今年は自動車業界や旅行業界などから複数のスーパーボウル常連企業が撤退。しかし限られた予算で、何とかスーパーボウル祭りに便乗しようと工夫する企業も少なくない。

Jersey Mike’s Subs(サンドイッチ)
「いつかスーパーボウルに出たら」CMコンテスト

スーパーボウルに出稿せずに、スーパーボウルの狂騒に参加する方法がいくつかある。まずひとつは、「スーパーボウル」とは言わずにスーパーボウルを連想させるCMを放映する方法だ。

1968年ニュージャージー州の小さな町のサンドイッチ屋として創業したJersey Mike’s Subsは、現在全米2000店舗のフランチャイズに成長。地元出身で俳優のダニー・デヴィートを起用したCM「いつかビッグゲーム(スーパーボウル)に出たら」を試合の1週間前から放映した。

デヴィートは「ジャージー・マイクは“ビッグゲーム”に出るよ。あ、今年じゃなくて、いつか、ね。もし“ビッグゲーム”に出たら、僕が熊とレスリングするとか、カーチェイスで警察に追われるとか、宝石店から高級ジュエリーを盗むとか、そういうCMはどう?」と未来のスーパーボウルCMのアイデアを語る。

さらに同社は、未来のスーパーボウルCMのアイデアを2月6~9日の期間にInstagramで募集した。4つの優秀作品を選出し、それぞれのCMコンテをスーパーボウル前日に公開した後、試合当日優勝者を人気投票で決定。賞品として「ジャージー・マイクがスーパーボウルで広告を出すまでサンドイッチ無料」の権利が与えられた。試合中には放映していないが、企画の良さが様々なメディアに取り上げられ、多くのPR効果をもたらした。

(1)Jersey Mike’s Subs

地元ニュージャージー州出身・俳優ダニー・デヴィートを起用したJersey Mike’s Subsのスーパーボウル・ティーザーCM。「熊と闘う・カーチェイス・宝石泥棒」など奇抜なCMアイデアを語り、最後に視聴者に「つくってほしいCMコンセプトを投稿して」と頼む。最優秀作品投稿者には「スーパーボウルに出るまでサンドイッチ無料権利」を進呈。

Anytime Fitness、
SB放送中「Anytime」投稿を呼びかけ

次の例はAnytime Fitnessが行ったプロモーションだ。試合1週間前、エニタイム・フィットネスはSNSで「ビッグゲーム(スーパーボウル)放送中に“Anytime”のワードを聞いたら#JustHeardAnytimeをつけて投稿してください」と映像で告知した。実況アナウンサー、ハーフタイムショー出演の歌手、CM中のセリフなどで“Anytime”を聞き、投稿すると、自動的にキャンペーン応募となる。抽選で世界のエニタイム・フィットネスジムへの招待(1カ所のみ)と1年間無料会員権が...

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