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業態別 OMOの実践と「コマースマーケティング」

カルビー、売り場を科学的に知ることで販売戦略の最適化につなげる

松永 遼氏(カルビー)

オフラインチャネルの店舗におけるお客さまの行動データまで取得できる時代。多く聞かれるのが、認知から購買までを一気通貫したデータ分析で、これまで以上に解像度高く顧客を捉え、施策に落とし込みたいという声だ。店舗のデータを活用し、マーケティング施策に生かすには何が必要なのか。カルビーのリテールサイエンス部 松永遼氏に聞いた。

商品を売るだけの時代は終わった 営業担当もマーケティング活動を

オフラインチャネルでも顧客データが取得できる昨今。これまではマーケターの経験と勘に頼っていた部分も多かった顧客にかかわる仮説が、データを活用することで検証できるようになってきた。それにより、「売り場」を科学的に分析して、有効なマーケティング施策に繋げる企業が増えている。

菓子メーカーのカルビーもその取り組みを行う企業のひとつだ。カルビーは2022年4月からリテールサイエンス部を発足。中期経営計画で流通取引先との戦略的パートナーシップを掲げていることを背景に、小売業態企業との連携をより強固にするべく設立された。

主な担当領域は大きく2つ。広域量販から得られる購買データやIDPOSデータを活用したリテールサポート。そして、店内にいる顧客の行動データを分析し、マーケティング施策に生かすリテールDXを役割としている。

店舗での販売戦略の立案が、さらにデータドリブンになり、マーケティング活動がカバーする領域が拡大、求められる知見も変化しつつある。実際、カルビーの現場では、どのような変化が起きているのか。

「以前ならば、価格を下げて量を売るという戦略が機能していましたが、昨今の物価上昇などの影響により、それが通用しない時代に差し掛かっています。そこで大事になるのが、店頭の顧客データを、営業担当が有効な店舗施策へ繋げること。従来の営業政策に加えて、営業担当もマーケティング活動に参加する必要性が高まっているのが、現在の変化だと捉えています」(松永氏)。

従来のカルビーのマーケティング活動は、商品企画をはじめとしたブランドマーケティングに重きを置いていた。松永氏によると、今は店頭で商品の良さをどう理解してもらい、実際に手に取ってもらうのか、ということを考えなければならなくなったことで、ショッパーマーケティングを重視する考えも社内に広がってきているという。

「買う」と「食べる」の間で顧客理解のギャップが生まれる

ショッパーマーケティングの重要性が理解され始めているとはいえ、「売り場」を分析するカルビーのリテールサイエンス部と、各ブランドをマネジメントする...

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