広告だけでなく、プロダクトデザイン、ビジネスの基盤づくりにも携わるクリエイティブエージェンシーのワイデン+ケネディ。2020年に東京オフィスのマネージングディレクターに就任し、社内外のブランディングプロジェクトや社内の人材育成にも携わる鈴木洋介氏に、同社の組織づくりや目指す方向性について話を聞いた。
人々の“思い”が醸成されるクリエイティブをつくる
クリエイティブを通じブランドの声を届けることを目指してきたワイデン+ケネディ。同社ではプロジェクトの開始に際して、常に重視する、5つのキーワードを掲げる。
ワイデン+ケネディが重要視する5つのアプローチ
1.Ask lots of questions
とにかく質問をする
2.Get to the truth
真実を見つめる
3.Find the brand's voice
ブランドの声を見つける
4.Build a world bigger than ads
広告にとらわれずブランドの世界を構築する
5.Place the brand in culture
ブランドを文化に組み込む
鈴木氏は、「チャネルやツールはここ数年で大きく変化しましたが、どれだけ外的要因が変わろうとも、人を相手にしている以上、大切にすべき根幹は変わりません」とこれらの重要性を語る。
さらに「人は、議論をすることや刺激的な体験に対する本質的な欲求がある」と鈴木氏。ブランドに対し、賛否含めて様々な“思い”が醸成されて議論が巻き起こることで、そのブランドの社会における役割が形成されていくのだと考える。
この時に大切なのは「生の声」。ハイパー・パーソナライゼーション時代ともいわれる中で、鈴木氏は「100%は無理だとしても、一人ひとりの考え方や価値観まで、どれだけ拾い上げられるかが求められている」と話す。
人々がブランドに期待することは何かを徹底して深堀した上で、ブランドとして世に発信すべきメッセージを考える同社。それでは、クライアントとはどのように向き合っているのだろうか。
「クライアントは“広告をつくるため”ではなく、“ビジネス課題に対する回答が欲しい”と思ってクリエイティブに投資をしています。当然ながらアウトプットの手段は、広告に限定されません。ブランド自身がどうありたいかを汲み取りながら、ブランドと生活者をつなぎ、社会にとって意味ある存在をつくることが、私たちの役割です」。
このとき、「ロジックの通った戦略がないと、よいクリエイティブはできない」と鈴木氏。同社では、クライアントとの窓口となるアカウントチームがリードストラテジストとしてプロジェクトを進行。そして戦略プランナー、クリエイターまでの全員が同じタイミングでプロジェクトに参画する。課題に応じて得意領域を持つメンバーを編成する一方で、新たな視点を取り入れることも欠かさない。ここで、経験を積むことによる社員自身の成長も重視する。
社員育成にも携わる鈴木氏は、各々の目標に対して、いきいきと向かっていくことのできる環境をつくることで、クライアントに対しても責任を持った、より良いソリューションを提供できると考える。今あるカルチャーを保つのではなく、時代に合わせて進化するにはどうしたらよいか。年齢や国籍、経歴など、様々なバックグラウンドを持つ社員が加わりながら、作品を生み出す。
「クライアントはその商材・サービスにおけるプロですが、相対する私たちは人を見るプロとしての誇りを持っています。両者でパートナーシップを組みながら、固定観念を取り払ったフラットなディスカッションをしていきたいと考えています」。
お問い合わせ
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