グローバルで1日に3100万人以上が視聴するライブ配信サービス「Twitch」。ユーザーの約75%が16歳から34歳までの、いわゆるZ世代とミレニアル世代だ。7月28日に行われたセミナー「Generation Twitch」では、アマゾンジャパンのジョン・アンダーソン氏、ブランドリサーチャーの廣田周作氏が登壇し、彼ら若年層のカルチャーがどのように芽吹いているかを解説した。
マーケターに求められるカルチャーに対する理解と敬意
セミナーの前半では、『世界のマーケターは、いま何を考えているのか?』の著者である廣田周作氏が、Z世代やミレニアル世代のデジタルとの付き合い方、そして、若者のカルチャーやコミュニティの在り方について解説。その特徴として、少人数の仲間とのプライベートな集いを好む「デジタル・キャンプファイヤー」や「ドメスティック・コージー」といった概念を紹介した。
Twitch Adsのジョン・アンダーソン氏によると、これらはまさにTwitchが持つカルチャーの裏付けとなる潮流だという。Twitchのなかでは、ゲーム、雑談、音楽、アートなど、あらゆる趣味を楽しむコミュニティが形成され、それぞれがリラックスした時間を過ごすのだ。
ここで廣田氏は、単にユーザー同士で盛り上がる場を提供するだけではなく、収益化の仕組みづくりなどクリエイターエコノミーの形成にも寄与していることが、Twitchの大きな特徴ではないかと話す。ここでは広告を出稿する企業自身もクリエイターファーストを心がけ、彼らをリスペクトする姿勢を示す。これにより、配信に「案件おめでとうございます」と拍手のコメントがつき、広告も受け入れられるという土壌が生まれているのだ。
デジタル上の企業コミュニケーションについてアンダーソン氏は、「アナリティクスに過剰反応して、オンライン空間を単なるデータの集合体のように扱うのはもったいない」と指摘する。
廣田氏は、「若い世代はデジタル疲れもあって、文脈のないコミュニケーションだと嫌われてしまう。でも、“推しのことを好きな人は仲間”というか、カルチャーへの理解を示すことで好意的に受け止められる余地ができます。SNSの普及で会社の文化も発信しやすくなっていますよね。ヨガウェアの会社ならヨガ好きな社員がいる。社員も楽しんでいる姿勢を見せることが信頼感につながると思います」と話す。
両氏は、「まずは自分自身が、そのカルチャーを実際に体験してみることが大事」と話し、マーケター自身がそのカルチャーに飛び込んでいくことの重要性を説いた。
またカルチャーを支援すると聞くと一部のZ世代向けの尖ったブランドだけの戦略に聞こえるが、廣田氏は「以前からサントリーがサントリーホールをつくるように、企業がリーダーとなってカルチャーをつくっていく活動は行われていたこと。その場がリアルな世界だけでなく広がっていると捉えた方が良いのでは」と話す。さらに「プロモーションというよりもカルチャーへの投資に近い形で関わることによって、そこから面白い潮流が出てきたら、大きなブランド的な価値が出てくるのではないか」と続けた。
可視化が難しいユーザーの「深さ」をいかにとらえるか。デジタル環境だからこそ生まれる個々のリアルな感情に目を向けることが、いま、ブランドに求められているのではないだろうか。
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