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異分野との共創・協調を実現する 「SYNERGYCA」設立プロジェクト

コンセント

顧客・生活者の価値や体験を起点にビジネス全体を設計する「サービスデザイン」。10年ほど前に日本にその考えを紹介し、サービスデザインの視点と技術を生かした新規事業開発支援などを行っているコンセント。今回、同社が参画した住友化学の「SYNERGYCA 共創ラウンジ」設立プロジェクトについて話を聞いた。

(左)コンセント
サービスデザイナー
佐々木未来也氏

(中央)住友化学
技術・研究企画部
SYNERGYCA 共創ラウンジ ダイレクター
クナップ カルロス氏

(右)コンセント
クリエイティブディレクター
渡邊 徹氏

全員の目線を合わせ、可能性を最大限に広げる

──住友化学では2021年に東京本社を移転。12月には、新本社内に「SYNERGYCA(シナジカ)共創ラウンジ」(以下、SYNERGYCA)を開設しました。

クナップ:SYNERGYCAは、お客さまに住友化学グループのテクノロジーを、「見て、触れて、体験して」いただきながら、新たな価値創造につながるアイデアや気づきを生み出す共創の場です。

当社には各工場や研究所に製品ショールームや外部の方との交流の場はあったのですが、住友化学、そして住友化学グループとして、総合的に住友化学の歴史や製品を共有し、社外の方と交流する場を設けたのは今回が初めてです。

──プロジェクトはどのように進めていかれたのですか。

クナップ:コクヨ社にお声がけして、2020年2月にプロジェクトを立ち上げました。そこから議論を重ねて、この空間に求める大きな方針が定まったのが9月です。

佐々木:私たちは10月にコクヨ社からご相談をいただきました。当初は「VRで何かできないか」という内容だったのですが、VRだけではなく、「見て、触れて、体験して」というコンセプトを具体的な体験としてどう具現化するか、SYNERGYCAにおける全体の顧客体験の構築を一緒に考えさせていただくことになりました。デジタル施策全体のプロジェクト管理と、デジタルコンテンツの企画・設計も担当しました。

コクヨ社や私たちを含め10社以上のパートナーや住友化学さまの複数の部署の方が参画しているのですが、こうしたステークホルダーの多いプロジェクトでは、ユーザーの理解はもちろん、SYNERGYCAという空間でなされるべきことに対する共通理解を全員でもつことが重要です。

想定ユーザーへのインタビューやペルソナの設定、カスタマージャーニーマップで可視化するといったことを、ステークホルダーとともに行い、全員の目線が合わせられたからこそ、具体的なデジタル施策の検討段階においてもスムーズに議論できたり、プロジェクト全体を円滑に進められたのだと思っています。

図表 SYNERGYCAのカスタマー行動を可視化したカスタマージャーニーマップ
各ステージにおけるカスタマーの行動とそれに対するアクションが整理されている。利用者理解を深め、ステークホルダーとの共通言語として機能する。

──コンテンツのライティングにもかかわっているとお聞きしました。

佐々木:私たちの強みのひとつであるエディトリアルデザインの知見を生かして情報の構造化と設計を行い、技術用語もできるだけわかりやすい表現に置き換えるなど工夫しています。

──目玉のひとつであるVR映像はなぜつくろうと考えたのでしょうか。

クナップ:SYNERGYCAに訪れた方々の記憶に残るものが必要だと考えたからです。場所に制限されず、世界各地の拠点で働いている我々の社員を皆さんに知ってもらいたいと思いました。国内外数拠点で撮影していますが、CGではなくリアルな撮影による生々しさと、各拠点のスタイルとのバランスが絶妙です。

渡邊:実際の撮影は、現地で撮影監督をアサインし、各拠点の皆さんに協力をいただきながら行いました。Zoomで各拠点とつなぎ、僕自身は東京の自宅からリモートでディレクションしたのですが、コミュニケーションはかなり密にとるようにしました。自分でカメラのRECボタンを押さない撮影は初めてでしたが、皆さんがとても協力的で、8分で世界中の拠点を旅することができるVR映像をつくることができました。

VR映像の体験スペースの運用支援も行った(Direction / Movie:bird and insect)。

──SYNERGYCA共創ラウンジの設立という大プロジェクトを成功できた秘訣はなんでしょうか。

クナップ:我々やパートナー企業の誰もが未だ踏んでいない領域に入っていくような未知のプロジェクトでしたが、それぞれの専門性を生かしながら共創ができたことです。

コンセントさんに対して感じたのは、プロ意識と前向きな姿勢、それからフレキシビリティです。これはこのプロジェクトにとって重要な観点でした。自分自身の意見はありつつ、それを意固地に貫き通さず、周りと協調できる、まさにこの「SYNERGYCA」の場で私が求めていた「異分野との共創・協調」を、共創の場をつくる段階から実現できたと感じています。実際、来場者の方からも「体験後に思考が広がり、共創できる頭になった」という感想があったほどです。私自身、オープンから9カ月ほど経った今でも毎日驚きがあります。

渡邊:今回のプロジェクトの成功のカギは、コミュニケーションの質と量だったと感じています。

佐々木:ユーザー像を理解するまでの共通言語をつくりステークホルダー間での目線合わせを大切にしたり、情報をできるだけオープンにして透明化を図りお互いの動きがわかるようにしたことで、会議も「自由な発言が可能になる場」として機能し、議論ができたことが、コミュニケーションの質と量の向上に不可欠でした。

住友化学さまと、コンセントをはじめとしたパートナーがそれぞれの分野のプロとして主体的に動ける共創プロジェクトづくりには、透明性と関係性が重要です。全員がそこを意識したことで、それぞれのクリエイティビティを発揮でき、SYNERGYCAという場ができたと思っています。

2022年9月29日(木)17:00~18:00

組織や部署を超えたプロジェクトチームの関係性づくりについてご紹介します。

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