アジア最大の広告賞である「スパイクスアジア2022(Spikes Asia Festival of Creativity)」の受賞作が発表された。2022年は「A New Creativity Dawns(新たなクリエイティビティのはじまり)」をフェスティバルテーマに、3月1日~3日の日程でオンライン開催。全25部門に3050作品がエントリーした。ここでは各部門のグランプリ5作品を紹介する。

01 DESIGN他:DENTSU WEBCHUTNEY
若年層に植民地主義の歴史と影響を伝えるガイド
VICE WORLD NEWS「THE UNFILTERED HISTORY TOUR」

ニューヨークを拠点とするメディア「VICE World News」によるプロジェクト「The Unfiltered History Tour」が、デザイン、モバイル、PR、ラジオ&オーディオの4部門でグランプリを獲得した。
イギリスの大英博物館は、800万点以上を所蔵する世界最大級の博物館として知られている。しかし収蔵品の多くは、大英帝国時代に旧植民地から略奪してきたもの。文化財返還活動が活発に行われているが、解決のめどは立っていないという。
「VICE World News」がインドのクリエイティブエージェンシーDENTSU Webchutneyと共同で考案・開発した「非公式」のオーディオツアーガイドは、Instagramのフィルターを通すことで、「勝者」から見た歴史のフィルターを取り除く試みだ。
ロゼッタストーン、パルテノン大理石、ベニン青銅器などの実際の展示物にスマートフォンをかざすと、これらが持ち去られた瞬間を過去にさかのぼって表示する拡張現実(AR)が起動する。そしてポッドキャストを通し、本来の所有国の専門家たちの声で、遺物にまつわるストーリーが語られるのだ。
リリースまでの間に、真実を伝えたかったいくつかの展示物は展示から外された。そして歴史的な映像の一部は、暴力的なあまりにInstagramアプリの承認を通過することができなかった。また通常、こうしたインタラクティブなガイドは会場の許可のもとに行われる。しかし今回は非公式。展示物の状態はタイミングによって変化し、どんな時間帯や場所でも...