12月9日、Epica Awards2021のオンラインセレモニーが行われた。1987年の設立以来、世界中の雑誌やWebサイトの編集者とジャーナリストが審査を担っていることが特徴の同アワード。各業界のコミュニケーションの潮流を踏まえたクリエイティブが選出されている。ここでは、64カ国3184作品の中から選ばれたグランプリとゴールドから5作品紹介する。
01 FILM他:& Co./NoA
いつの時代も、ヘルメットは大切でした。
Danish Road Safety Council「Helmet has always been a good idea」
世界的な自転車大国として有名なデンマークの啓発動画が、FILM部門でグランプリを獲得した。
デンマークでは1970年代の第一次オイルショックを契機として、国を挙げて環境にやさしい自転車の利活用を推進してきた。首都コペンハーゲンでの総台数は67万5000台以上。専用道路や橋が整備され、また公共交通機関の車両内には専用スペースが確保されるなど、自転車利用に最適なインフラが整えられている。
しかし、安全性を確保するためのヘルメットの着用は義務付けられておらず、その装着率は大人で約50%程度だった。
法で制限してしまうと、自転車文化が衰退してしまうのではないか⋯そこでデンマークの交通安全協会は、自然とヘルメットを被りたくなるような広告を出稿した。
世は893年、いわゆるヴァイキング時代。角笛が響くなか、リーダーは馬にまたがり、「イングランドを攻め込むぞ!」と鬨の声を上げる。するとそこに
「父上待って!」と駆け寄る少年がひとり。その手には兜があった。それを無視して船に乗り込もうとするが、家来もまた、兜をかぶるべきではと助言する。頭がかゆくなるから被りたくない、気を付けて馬に乗る、俺は兜をかぶるタイプではない、と言い張るリーダー。しかしそこに妻が現れて⋯というストーリーだ。
動画はテレビやYouTubeで公開され、屋外広告やデジタル広告も展開された。動画の閲覧数は410万を超え、5人に2人がキャンペーンによってヘルメットの購入を検討。また5人に1人がこのキャンペーンについて他の人に話すという波及効果もみられたという。
同キャンペーンは...