昨年末行われたアンケート調査で、Z世代のスポーツ離れが進んでいることがわかった。エモリー大学Marketing Analytics Centerの調査によると「熱心なスポーツファンですか?」との問いに“Yes”と答えたZ世代はわずか23%と世代別で最も低くなっている(ミレニアル42%、X世代33%、ベビーブーマー31%)。そこで、彼らが若いうちにスポーツファンにさせておきたいプロスポーツ界は、Z世代へ向けたマーケティング活動を強化し始めている。

夢中なのはスマホやタブレット 数十年後にはメジャー・スポーツが崩壊
物心ついた時からスマートフォンやタブレットに囲まれて育ったZ世代には、スポーツ体験を持つ子供が少なくなっているという。Sports&Fitness Industry Associationによると、個人・団体スポーツを習慣的に行う6〜12歳は、2008年には45%だったが、2018年には38%まで低下。さらにパンデミック後は「自分の子供はスポーツに興味がない」と回答した親は2020年6月時点で19%だったが、2021年9月には28%に上昇した。
エモリー大学マーケティング教授マイケル・ルイス氏は「もし幼い頃の体験がスポーツファンをつくるものだとしたら、米メジャー・スポーツは数十年先に崩壊してしまうだろう」とニューヨーク・タイムズ紙に述べ、危機感を煽った。
プロスポーツ界がe-sportsに参入 NFLはゲーマーを実況席に招待する工夫も
そんな彼らを捕まえようと、プロスポーツ界が注目しているのがe-sportsだ。伝統的なスポーツには疎いZ世代だが、ゲームにかける情熱は強い。そのため、e-sportsコンサルティング会社Esposureの力を借り、e-sportsコミュニティを理解し、エコシステムを学習するプロリーグが増えているという状況だ。同社CEOダニー・マーティン氏は「e-sportsコミュニティを理解し、関わっていかないと(ファン獲得の)機会を逃すことになる」と指摘している。
NFLのCMOティム・エリスは「18歳までにファンにできなかったら、生涯獲得することは難しくなると理解している」とタイムズ紙で言及。そこで約2,400万人のフォロワーを持つゲーマー、通称“ニンジャ”ことリチャード・タイラー・ブレヴィンスをスタジアムのVIPシートに招待し、実況中継をさせるなどの施策を実施、若いファン獲得を図っている。またe-sports&エンターテインメント会社FaZe Clanと組んでオリジナルのアパレル製品をオンラインで販売し、好評を得ている。
さらにZ世代に...