新型コロナウイルス感染拡大から2年が経過し、アメリカでは消費者の健康志向がより一層高まっている。そのなかで機能性飲料(Functional Beverages:ミネラル、ビタミン、アミノ酸、食物繊維、プレバイオティクス、生果実その他の原材料を含むノンアルコール飲料)が売上を伸ばしている。リサーチ会社Euromonitorの調べでは「米国の機能性飲料は2020年から2025年までに年平均成長率6.6%で推移する」と予測しているが、パンデミックの影響でそれ以上の成長を予測するメディアも出ている。

BodyArmor、コカコーラが買収した 急成長のヘルシー・スポーツドリンク
前出のEuromonitor社によると、米スポーツドリンクの市場シェアはゲータレード68%(ペプシコ)、パワーエイド14%(コカコーラ)、ボディーアーマー(以下、BA)9%の順になっている。この中でBAはスポーツ選手や歌手・俳優などを広告に起用し、若年層を中心に急成長を遂げている。
広告では主に、運動による脱水症状を防ぐカリウムと活性酸素を除去し、酸化を抑制する抗酸化物質を含み、人工甘味料および着色料不使用など栄養成分について言及し、これまで定説だった「スポーツドリンクは高カロリーで不健康な飲みもの」という悪評を覆す「ヘルシーなスポーツドリンク」と位置づけている。
そして昨年11月にはコカコーラ社が、同社史上最高額の56億ドル(約6,440億円)でBAを買収した。SNSではスポーツ界からジャ・モラント(NBA)、シーディー・ラム(NFL)、ムーキー・ベッツ(MLB)などのスーパースターが、芸能界からは歌手のジェニファー・ロペスやキャリー・アンダーウッドが、それぞれエクササイズ中にBAで水分補給をするシーンが見られる。
そしてInstagramではJロペス・オリジナルカップとBA1年間無料配給、またはCアンダーウッド・オリジナルウエアが当たるキャンペーンを実施。商品名をタグ付けし、友人2名に拡散すれば自動的にエントリーできる仕組み。同社傘下のパワーエイドと併せて、ゲータレードからシェア奪回を積極的に狙っていく。
(1)ボディーアーマー




多くのスポーツ界のスーパースターや大物歌手・俳優を起用したボディーアーマーのSNS。「スポーツドリンクは高カロリーで、カラダに悪い成分が含まれている」の定説を覆すように、カリウム・抗酸化物質入り、人工着色料不使用など「ヘルシーなスポーツドリンク」を強調し、売上を伸ばしている。
低カロリーの健康炭酸飲料 ホッピーがZ世代のリーチにも注力
今売れている機能性飲料は、起業家から生まれたものも少なくない。脱サラした夫婦で開発されたポッピーは、一度別名で生産された商品をリブランドし、2020年3月に発売された。一缶あたりわずか25カロリー、糖分5グラム以下、腸内環境を改善する...