ゴルフ場経営などを手掛けるセブンハンドレッドは2021年4月、コロナ禍で休館となったホテルを取得し、「お丸山ホテル」としてリニューアルオープン。代表取締役社長の小林忠広氏と、リニューアルプロジェクトに参加した建築家の水間寿明氏に話を聞いた。

リニューアルされた「お丸山ホテル」エントランス。
©Takumi Ota
社員とクリエイターが直に対話しプロジェクトを“自分ゴト化”する
──お丸山ホテルをリニューアルオープンした経緯について教えてください。
小林:セブンハンドレッドは主幹事業であるゴルフ場運営において、ゴルフ場と地域の新しい連携を構築していく計画を進めていました。その中で、コロナ禍で休館になってしまったホテルについて自治体から相談を受け、地域振興の一環としてホテルを経営しようと決断。
水間さんには以前、ゴルフ場の魅力を高めるためにバーベキューテラスを新設した時も設計をお願いしました。その際、「この場所の可能性をどうしたら高められるのか」ということを一緒に、いちから考えてくださり、魅力的な“場”をつくることができたため、この成功体験から今回のホテルリニューアルプロジェクトも水間さんとご一緒したいと思い相談しました。
水間:本プロジェクトには、私が代表を務める建築士事務所、MON architectsのメンバーとグラフィックデザイナーの竹本新さんも参画。建物や空間、ロゴ、名刺などの形で表現するデザインから、アメニティなどのサービス設計まで、小林さんをはじめとしたセブンハンドレッドの方と一緒につくり上げています。
小林:セブンハンドレッド側は、約50名の社員全員を巻き込んだプロジェクトに。ホテル実現に対する具体的なアイデアはもちろん、これまで言語化できていなかった企業のパーパスや“セブンハンドレッドがホテル事業を行う意義”などを考えるワークショップも実施し、そこで出た意見を水間さんや竹本さんにも共有。参考にしていただきました。
水間:初期の段階から本当に皆さんがかかわっていたのが印象的です。私たちが考えたデザイン案なども、社員の皆さんの前でプレゼンをして、意見をいただいていました。
小林:経営者がトップダウンでデザインやパーパスを決めるケースもあると思うのですが...