アメリカン・エキスプレスの杉本美穂氏をリーダーとする「CMO X LUXURY」の分科研究会には、ビー・エム・ダブリュー、祇園辻利、A.ランゲ&ゾーネから3名のメンバーが参加。ラグジュアリーブランドの今日的な価値を、ディスカッションを通じて導き出す。

オンラインでのミーティングの様子。参加メンバーはアメリカン・エキスプレス・インターナショナル, Inc.・杉本美穂氏、ビー・エム・ダブリュー・遠藤克之輔氏、祇園辻利・三好正代氏、リシュモン ジャパン A.ランゲ&ゾーネ・山崎香織氏。
不要不急の最たるもの?コロナ禍とラグジュアリー
所有から利用へ⋯。世界的にシェアリングエコノミーが拡大するなか、「モノ」しかも「ラグジュアリーブランド」を所有する意味や価値も大きく変わっている。加えて、若年層においては、かつてとは異なる「ラグジュアリー」の価値観も見えてくる。現在の消費者は「ラグジュアリー」という価値をどう定義しているのか。そして、その価値観はいわゆる「ラグジュアリーブランド」と言われるカテゴリーの消費にどのような影響を与えているのか。
ラグジュアリーカテゴリーに属するブランドのマネージメント/マーケティングを担うメンバーでディスカッションを行っているチームが「CMO X LUXURY」だ。リーダーとしてチームを率いるのは、アメリカン・エキスプレスの杉本美穂氏。杉本氏の課題提示に共鳴し、ビー・エム・ダブリュー、祇園辻利、A.ランゲ&ゾーネから3名のメンバーが分科研究会に参加した。
冒頭、杉本氏から「ラグジュアリーブランドは不要不急の最たるもの。加えてラグジュアリーブランドのお客さまは、価格にこだわりなく、あらゆる商品を購入できる所得のある方。“なぜ、この商品が生活に必要なのか” “なぜ、このブランドでなければいけないのか”という明確な理由を考える必要があるのではないか」と指摘した。杉本氏がこう提示した理由はラグジュアリーの場合、希少性があるがゆえに、ブランドオーナーがこの問いに十分に答えを考えられていないのではないかとの課題意識があったからだ。
この投げかけに山崎氏は「ラグジュアリーは生活必需品ではないけれど、人の心を豊かにするために必要なものと認識している」との考えを示した。さらに「私たちが提供する腕時計は、同じラグジュアリーの中でも車以上にコレクター癖のある方が多い。しかし一度に何個もの腕時計はできない。装着しなくても、そばに置くことで心を満たす存在になっているのだと思うが、その心を満たす理由をいつも考えている」と話した。
モノを所有することによる満足もあれば、贅沢という言葉には精神的価値も含まれる。杉本氏は...