ライオンのサステナビリティ推進部部長の小和田みどり氏をリーダーとする「CMO X SOCIAL」の分科研究会には、アサヒコ、ウェルカム、FWD富士生命保険の3社からメンバーが参加。日本においてもエシカル消費の傾向が見られるなか、マーケター視点で企業の社会貢献活動の方向性を考える。

オンラインでのミーティングの様子。参加メンバーはライオン・小和田みどり氏、アサヒコ・矢野健一氏、ウェルカム・菅野幸子氏、FWD富士生命保険・立川麻理氏。
マーケターが目指す成長と社会貢献の両立とは?
日本企業でもここ数年、CSV(Creating Shared Value)の名を冠する部門を目にする機会が増えている。企業の社会的責任として、本業と離れたところで行う社会貢献活動ではなく、日々のビジネス活動を通じて、社会課題の解決につなげる仕組みとアイデアが求められるようになっている今、マーケターは持続可能な社会の実現に向け、いったい何ができるのか。そんな課題感を軸に立ち上げられたのが「CMO X SOCIAL」だ。
リーダーのライオンの小和田氏は、現在のサステナビリティ推進部に至る以前には商品開発、アドバタイジング、マーケティングコミュニケーション、さらに子会社の経営トップを担っていたこともある。売上と社会貢献の両立、本業を通じた持続可能な社会への貢献というテーマの提言は、CSR活動畑のキャリアを歩んできたわけではない小和田氏ならではだ。
このテーマに賛同し、分科研究会に参加するのはアサヒコの矢野健一氏、ウェルカムの菅野幸子氏、FWD富士生命保険の立川麻理氏。もともと人の暮らしや健康、人生に寄り添う志向の強い3社が集まった。
豆腐をはじめとする食品の提供を通じて、健やかな人々の暮らしに貢献することを目指す、矢野氏が代表取締役を務めるアサヒコは「親会社が経営の5つの軸として掲げる項目で売上に関するものはひとつだけ。あとは環境を始めとする、社会課題に関するものになっているなど、非常に意識の高い企業」という。
最近は植物性プロテイン事業が好調だというアサヒコ。矢野氏は「今後、世界の人口増加に伴い、肉を原料とするタンパク源の不足はより深刻になり、植物性プロテインの需要は高まることが予測される。社会課題の解決が企業の継続性にもつながる事業と言える」と話し、企業側の狙いと社会のニーズをどうマッチさせるかが重要との考えを示した。
オウンドメディアで発信 活動の背後にある物語を伝える
ウェルカムの菅野氏からは同社が運営する食のセレクトショップのDEAN & DELUCA(ディーン&デルーカ)で展開してきた「ENJOY GOOD FOOD」プロジェクトが紹介された。「地球環境、人と社会、地域と文化の3軸から...