コロナがもたらす「家計不安」 続く節約志向に、企業がとるべき対応とは
新型コロナウイルス感染拡大から1年超、生活者の心理はどのように移り変わってきたのだろうか。2020年3月下旬から週次で定点調査を行ってきたインテージのデータを基に、同社生活者研究センター長、田中宏昌氏が解説する。
「不安」と消費者 生活、健康、将来の不安に寄り添う
グローバル総合広告会社マッキャン・ワールドグループの持つ調査チームMcCann Truth Centralは、2020年3月から2021年5月まで生活者意識に関するオンライン定点観測「Truth About Culture and COVID-19」を実施した。世界と日本の、コロナ禍での価値観の変化について、洪瑋琳氏が解説する。
2020年3月から2021年5月まで行った生活者意識に関するオンライン定点観測「Truth About Culture and COVID-19(文化と新型コロナウィルスについての真実)」は、日本を含め合計世界18カ国をカバー。各回1万1千人から1万4千人の規模で、10回にわたって調査を行った。急速に動いている情勢に対し、瞬間のスナップショットを継続的に捉えて見えてきた生活者のインサイトについて分析する。
2021年5月に実施した第10回目の調査では、日本人の44%が「パンデミック以前よりも不安感が強くなっている」と回答。グローバル平均やアメリカ、中国などが3割弱の結果に対し、調査対象国の中で、最も高い数字となった。感染第2波と第3波の間にあった11月の結果では不安が一旦35%まで下がったものの、感染者数が再び増加傾向に転じ、不安心理もリバウンドした【図表1】(※1)。
日本人の不安の背景にある理由として、組織への信頼喪失が挙げられる。日本人の42%がパンデミックへの対応で政府に失望したと感じていた。グローバル平均では27%で、中国ではたったの9%に対して、日本は調査国の中で最も失望感が強かった。その結果、政府が推進するガイドラインへの信頼度も低くなり、日本では一人ひとりが自分の視点でルールを判断し、取り組んでいる現象が見えた。調査対象国の中で最も高い割合(34%)の日本の生活者が「ルールは一部を守っているが一部は無視している」との結果となった。
また、感染以外の不安のもたらす要素を時系列で見ると、海外ではアジア太平洋地域の...