動画広告の秀逸事例
ここでは、田中氏と池田氏が選んだ動画広告の秀逸事例について、動画の制作技術を踏まえて紹介します。
宣伝担当者が知っておきたいクリエイティブの基本
広告コミュニケーションの根幹となる「コンセプト」。わたしたちはどのように、情報をインプットしてアウトプットにつなげていけばよいのでしょうか。さらにそのコンセプトを、社内やクリエイター、そしてその先の消費者に共感してもらうためには、きちんと「言語化」することが大切です。コンセプトを組みあげるためのメソッドを、「編集」と「言葉」、二人のプロフェッショナルに聞きました。
コンセプトとは「なにを言うか」であることは周知のとおりです。でも、そのことは理解していても、なにを目的にコンセプトを考えているのかということを、時として忘れがちです。
コンセプトは面白い言葉である必要はありません。言葉として面白くても、企画や表現になりにくい言葉では意味がありません。コンセプトには、その先に企画や表現というゴールがあります。そこを強く意識してください。面白いゴールへ連れていくことがコンセプトの目的です。コンセプトを考えることが目的じゃないという、そのことがわかっていれば、コンセプトをゴールから逆説的に評価できるはずです。「このコンセプトは面白い表現を連れてやってくるか」「やってこないか」そこを見通しながらコンセプトを選びましょう。
そうやって選んでも、表現や企画になりにくいコンセプトを選んでしまう場合があるでしょう。そのときは、いつまでも固執しないで潔く捨てることです。
固執して時間を浪費するくらいなら、よくないコンセプトを捨てて、新しいコンセプトを考えましょう。何度もそうやって判断しながら試行錯誤するうちにコンセプトをチョイスするチカラ(センスと言ってもいいかもしれません)が、身についていきます。このコンセプトなら、その先にある表現や企画が面白くなるな、と判断できるようになることが、コンセプトを伝える技術の第一歩だと思います。
これは、宣伝会議のコピーライター養成講座に通っているころに、ある講師から出された課題です。当時はあまり意味がわかっていなかったのですが、ある日、この課題の中にコンセプトと表現(ゴール)の関係がすべて詰まっていることに気付いたのです。
宣伝会議で講師をするようになった当初は、キャッチフレーズを考える課題をやっていました。ただ、それは偶然のホームラン競走のようなものでした。コンセプトと表現の関係をロジカルに理解できたら、みんながもっとコピーを書きやすくなるのではないかと思い、あるときからこの課題に変更しました。結果、「目からウロコ」「もっと早い段階で知りたかった」という声を多く聞きました。他のセミナーやワークショップでもまずこの課題をやることでコンセプトの役割と大切さを理解してもらうようにしています。
この課題には、いくつかのトラップがあります。まず、「話題になるカフェ」という条件が最初のトラップです。ここでなぜ、あえて「話題になる」という条件をつけているかというと、「話題になる」ということが「広告をつくる上で常に意識したいこと」だからです。「話題になる=振り向いてもらうこと」を常に意識して欲しいのです。なぜなら、振り向かせるチカラがない広告は人目を引かないから、広告として機能しないのです。
次に「コンセプト、ネーミング、キャッチフレーズ、DMの順に考えていくこと」を義務付けます。それは、各表現段階で必ずコンセプトに立ち返ってブレていないか客観判断して欲しいからです。
「おもしろいか」「おもしろくないか」という主観判断ではなく、コンセプトという客観的な基準で判断する習慣を持って欲しいのです。客観判断は現実の仕事で、いつもできていないといけません。そして、順番に考えることでロジックが成立しているかどうかも分かります。“ロジカルシンキング”ができるようになるとプレゼンテーションがうまくなります。ものごとを本質で考えられるようになります。
最後は「DMの表現」です。ここにもトラップがあります。「DMはハガキや封書でなくても良いんだ!」と、気づけるかどうかです。「どこにでもあるようなDMなんかつくりたくない」という意思を持って取り組むことが、その気づきの引き金になります。技術も大切ですが、意思も大切です。常に“企む”気持ちがあれば、人とは違った発想をして効果的な伝え方ができます。
もうひとつ最大のトラップが、課題なんだからバーチャルでよいということです。実際に事業として成立なんかしなくても、おもしろい表現をめざすコンセプトを考えるべきなんです。そういう、制約を突破する目を持つ人が、コンセプトを...