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フランス消費トレンド

パンデミック下で人は広告を受容するのか? 調査から見える欧米5カ国の違い

山本 真郷氏/渡辺 寧氏

ファッションを中心とした新しいライフスタイルの発信源である、フランス・パリ。パリに駐在する日本人マーケターが街中で見つけた、新しいトレンドを紹介。トレンドをマーケティングと異文化理解の2つのフレームから読み解きます。

販売活動に広範に及ぶ自粛ムードの影響

AFP通信によると、COVID-19(新型コロナウイルス)対策で世界の人口の約6割にあたる45億人が外出制限下に置かれています(4月17日時点)。

パンデミックが発生している状況下では感染拡大を防ぎながら、生活の土台となる経済活動を維持する必要がありますが、さまざまな考えや感情が行き交う中で「自粛ムード」が販売活動広範に及び、経済活動とのバランスが保ち難くなっているように感じられます。「広告宣伝、販促活動をどういったニュアンスで、どこまで実施してよいものか?」と頭を悩ませているマーケターの方も多いのではないでしょうか。

「自粛」とは社会心理学で「自己検閲」にあたり、周囲の反応により、自分の意見の表明を控えることを指します。つまり、周囲の空気を読んだ言動をすることなので、国の状況や国民性によっても異なり、また各国の中でもグラデーション的な意識の差があるものです。社会が揺れ動く中で空気を読むためにも、消費者の意識に一層の注意を払う必要があるでしょう。

今月はこのパンデミック下における欧米の「広告に対する消費者意識」をご紹介します。

欧米5カ国内でも異なる広告に対する消費者意識

多くの国・地域がロックダウンに入った直後の3月20日から4月5日にかけてEpsilon-Conversantが欧米5カ国(イギリス、フランス、アメリカ、イタリア、スペイン)を対象に、広告に対する意識調査を実施しました。同調査によると、「パンデミック下でブランドが広告を出すことは適切だと思いますか」という問いに対して、5カ国平均で62%の人が「適切」と回答し、広告接触について欧米の消費者がどちらかと言えば好意的に捉えているという結果が報告されています。

一方、国別で傾向を見ていくと、アメリカとイタリアは7割以上の人が「適切」と答えたのに対し、フランスは6割以上の人が「不適切」と答えるなど、欧米の中でも意識の差が顕著に現れています。

こうした傾向の現れか、フランスでは広告の内容そのものに変化が見られ...

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