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米国広告マーケティング事情

OTTの人気に伴い注目集まるプロダクト・プレイスメント

松本泰輔

1950年代から始まった米国のケーブルテレビ普及率は、20世紀末までに約90%に到達。ところが、2000年代に入るとインターネットの高速化とスマートフォンなど携帯機器の普及により、テレビや映画などのインターネットコンテンツ配信(総称OTT、Over-the-topの意味)が増加していく。

そしてOTT視聴者が増えるに従い、NetflixやHuluなどの配信会社は、映像作品の劇中に、道具や背景として実在の企業名・商品名(商標)を表示させる広告手法「プロダクト・プレイスメント(以下、PP)」を強化。PQ Mediaによると、2017年度のPP市場は前年対比13.7%増の約87.8億ドル(約9,300億円)と、9年連続2桁成長が続いている。

専門チームが制作者、広告主と綿密に協議 Huluは91%の番組でBI、PPを実施

Huluは「ブランド・インテグレーション(以下、BI)」と呼ばれるPPとはまた別の手法を積極的に採用している。これは単に広告主の商品やロゴを見えるところに配置するだけでなく、ドラマのストーリーや番組内容に合わせてブランドもしくは商品を筋書きに織り込んでいく手法だ。

HuluにはPPもしくはBIの専門チームが存在し、番組プロデューサーらと協議の上、どこのシーンに広告を入れるか決めるという。また、「番組が正式にスタートすると、『いかにブランドもしくは商品をストーリーに溶け込ませるか』について、番組プロデューサーに加え、最近では広告主とも話し始めるなど、コラボは進化し続けている」とHuluインテグレーション・マーケティング担当VPニコル・サバティーニ氏はAdweek誌で述べている。

また、Branded Entertainment Network社は、2018年、Huluは91%の番組でBIもしくはPPを行っていることを明らかにしている。

Miller LiteにHotels.com ストーリーに自然に組み込まれる商品

今年の春から夏にかけてHuluは4つのオリジナルドラマにおいて、過去最大規模となるBIを実施。ドラマ「Into the Dark」では主人公たちが集まるバーで米国の老舗メーカーのビール「Miller Lite」のネオンサインやミラーライト缶が約2分間にわたっていたって自然に映し出されていた。

また、さらに手の混んだBIを行ったのがHotels.comだ。テレビ版コメディー「Four Weddings and a Funeral」で、Hotels.comがメインキャラクター2人の結婚式にスポンサーとして登場。宣誓する新婦の前に、同社の関係者らしき人物が突然現れ、「誓いの言葉のなかに"Hotels.com"を入れるのを忘れるな。ホテル代無料などの報酬プログラムにエントリーできるから」と指示される …

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