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米国広告マーケティング事情

ベビーブーマーも70代に突入!スタートアップ企業も参入するシニア市場

松本泰輔

「ベビーブーマー(ブーマー)」は1946年から1964年までに生まれた世代で、人口的にも経済的にも米国の中枢を担ってきた。2017年の国勢調査では人口構成比で「Z世代(1997以降生まれ)」(26.4%)に次ぐ第2位(22.6%)であるものの、Video Advertising Bureau(VAB)によると「ブーマーは可処分所得全体の約70%に相当する総額3.2兆ドル(345兆円)を年間に消費している」という。

ところが企業はマーケティング予算の約15%しかブーマー市場へ投入していないのが現状だ。そのような中、最近では「70代に突入し始めたブーマーを狙うスタートアップ企業が増えている」と各メディアが報じている。

抵抗感のある「大人用おむつ」をおしゃれで便利な「シニア用下着」に

2018年8月、スタートアップ企業Willowはシニア向け下着を販売開始した。Willowは、Eコマース業界で近年ますます増加傾向にあるD2Cで、卸売など第三者を通さず消費者へ直販する企業。同社起業者ウィル・ハーランズ氏はビジネスの構想を練っている最中に、シニア層の女性30~40%、男性15%が尿もれの悩みを抱えていることを知ったという。その数は全米で約2,500万人に相当するが、現状では「大人用おむつ」の85%が店頭販売で、消費者にとって購入の抵抗感は強い。

しかも、装着感も快適とはいえず、外出時も不安がつきまとう。そこで同社は肌触りの良い素材を使用し、スタイリッシュで吸収力の高い尿もれ対応使い捨て下着を開発した。「靴下1足でも自宅へ届けてくれる時代。人生の大きな問題である尿もれ用下着も同様に宅配してよいのでは」とハーランズ氏は開発の経緯をファスト・カンパニー誌に述べている。

そして投資家から数回資金調達を受けた後、販売開始からわずか半年後にはシニア向け情報サイト「caring village」が選ぶ「女性用尿もれ対応下着ベスト5」に選出されるなど、Willowは順調なスタートを切った。

(1)WillowがD2Cで販売したシニア用下着「Willow」

これまでの大人用おむつの概念を覆す、尿もれ対応下着「Willow」。着心地の良くない紙おむつではなく、肌触りの良い素材を使ったスタイリッシュなデザイン。吸収力に優れ「使い心地が素晴らしい」「旅行中でも安心」などWebサイトには称賛の声が多く書き込まれている。

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ベビーブーマーたちも、年齢を重ねるごとに健康面で心配事が増えてくる …

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