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米国広告マーケティング事情

銃規制、薬物中毒、人種差別 米社会問題を反映する公共広告

松本泰輔

米国では公共広告をPublic Service Announcementの頭文字を取ってPSAと呼ぶ。最近、話題のPSAを見ると現在、同国が抱えている社会問題が見えてくる。

11歳少女が教える銃撃による無差別殺人から逃れる方法

4月27日、ユダヤ教の祝日「過越祭(パスオーバー)」最終日にカリフォルニア州にあったシナゴーグで銃撃事件が発生し、多くの犠牲者が出た。奇しくもその2日後にリリースされたPSAは、銃規制を呼びかける団体「March For Our Lives」による2分間のムービー(1)だった。「Generation Lockdown(封鎖世代)」と題された映像は、建物内で銃撃事件が起こったら、どう対処すべきかを学ぶ講習という設定のもと、実在する企業で撮影された。

「本日の講師ケイリーはその道のエキスパートです」と紹介され、社員らの前に現れたのは小さな女の子。社員たちは驚くと同時に苦笑いを浮かべ、ケイリーの顔を見つめる。彼女は挨拶もせず、「もしここに銃撃者が入っていたら、皆さん殺されます」と語り始める。愛らしい少女の口から出てきた険しい言葉に、部屋の空気が一瞬にして凍りつく。

「ドアの前に机や椅子を積み上げ、銃撃者の侵入を防ぐ方法もあります」。11歳のケイリーは、にこりともせず真剣な表情で続ける。「もしあなたがトイレにいたら、ドアの上下の空間から見えないように、便器の上に立ってしゃがむこと。銃撃者が部屋に入ってきたら、泣き叫んでも助けになりません」「窓ガラスを割って脱出するプランなどを普段から用意しておくのもよいです」。

March For Our Livesによると、公立学校に通う子どもの95%がロックダウン(校内封鎖)の訓練を受けているという。大人相手に堂々とレクチャーをしたケイリーもその中のひとり。映像は台本なしで収録されたものである。Adweek誌は「悲劇的な現実を伝える、胸が張り裂けるようなPSA」と紹介した …

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