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米国広告マーケティング事情

相次ぐ参入、実用化は目前 宅配ニーズに応えるデリバリー・ロボット

松本泰輔

FedExは2月27日、「デリバリー・ロボットによる配送テストを開始する」と発表した。AI化による配送コスト削減や年々高まる消費者の宅配ニーズへ対応するため、多くの米国企業が今、新しい試みに取り組んでいる。

配達ロボット「FedEx SameDay Bot」今夏、テスト運行開始

広報の発表によると、デリバリー・ロボット「FedEx SameDay Bot」(1)は今夏、本社テネシー州メンフィス近郊にて試験運行が開始される。ロボット配送は地方行政の認可が必要になるが、現在各地で申請中の認可が下りればサービス区域を拡大する予定だ。同社顧客の約6割は各支店から半径3マイル(約4.8km)以内に住んでおり、至近距離配達に迅速に対応するのが狙い。同ロボットは、電動立ち乗り二輪車「セグウェイ」の開発者ディーン・ケーメン氏が興したDEKA Research & Development Corp.と共同で開発された。

FedEx以外にも、AutoZone、Lowe's、Pizza Hut、Target、Walmartなどが同様のロボットをDEKAと共同開発している。FedEx上級副社長CMOのブリー・カレアリー氏は「このロボットは至近距離における従来の配送方法を変え、消費者の高まる期待に効率的に応える革新的プロダクト」と述べている。

またケーメン氏は「本ロボットは、体の不自由な方向けに開発され、FDA(アメリカ食品医薬品局)の認可を受けたロボット『iBot』をベースにつくられたもので、1000万時間を超える実社会での操作を経験済み」と説明している。本ロボットの最高速度は時速10マイル(約16km)で、重さ100ポンド(約45kg)まで運ぶことができる。

(1)FedExの配達ロボット「FedEx SameDay Bot」

階段を器用に上り、段差のある路面にも対応できる。複数のカメラとセンサーで道路状況を把握し、AIが安全で最適なルートを選択する仕組み。今夏、メンフィスでテスト走行した後、全米主要都市にサービスを拡大する予定。

人気番組「ザ・トゥナイト・ショー」で全米デビュー 石段上り配達する様子を動画で紹介

FedExが発表した30秒の動画では、SameDay Botが道路から歩道にかかる縁石の段差を乗り越え、石段を上り、顧客の自宅玄関まで荷物を運ぶ様子が紹介されている。本体には複数のカメラとセンサーが搭載されており、危険物やブロックを避け、最適なルートを確保するよう設計されている。

また複数回通ったルートの路面状況や道路規制などの情報を蓄積し、AI(人工知能)がアルゴリズムを解析。それらの情報が次回の配達に生かせるようになる。発表前夜にはジミー・ファロンが司会を務めるNBCの人気番組「ザ・トゥナイト・ショー」にCMOのカレアリー氏が出演し、FedEx SameDay Botを紹介。砂の上や砂利道、階段などを上る実演を見せ、観客から大きな拍手を浴びるなど派手な全米デビューを飾った …

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