次世代を担う若手マーケター・クリエイターを紹介する本連載。新たな時代を担うホープたちはどのようなポテンシャルを秘めているのだろうか。今回はP&G ブランド マネージメント アシスタント ブランド マネージャーとして活躍する鹿山貴弘さんに話を聞いた。
ブランドのグローバル戦略を各地域の社会状況に合わせて調整
プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)はアメリカで1837年に設立され、現在は世界180カ国で日用品消費財を提供する。
その同社においてヘアケア商品「パンテーン」のブランドマネージメントを担当しているのが、鹿山貴弘さんだ。鹿山さんはBtoCの企業であり、かつ包括的にブランドに携わり、ブランド経営まで関われる可能性に魅力を感じて同社のマーケティング部門に新卒で入社。入社後は一貫してヘアケア商品を担当し、2年目からは「パンテーン」ブランドを担当している。
日々、ヘアケアブランドのマーケターとして新たなチャレンジに直面している鹿山さんだが、貴重な体験となったのが日本向けのブランドマネージメント業務だ。グローバル戦略を、市場調査をした上で、日本のメディア状況に合わせて適切なコミュニケーションに落とし込む。特に日本の消費者に適切に伝えられるように、ニュアンスを考慮した英語のコピーの和訳が肝になるという。
鹿山さんが2018年に携わったキャンペーンに、「#就活をもっと自由に」がある。「パンテーン」は、ブランド哲学に「美しい髪によって、女性が一歩前に踏み出す勇気を与える」ことを掲げている。このブランド哲学を日本市場に適した形で伝えようと考えたときに、日本で共感を得られる素材として日本では慣習となっている「就職活動」に焦点を当てたのだ。
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