ファッションを中心とした新しいライフスタイルの発信源である、フランス・パリ。パリに駐在する日本人マーケターが街中で見つけた、新しいトレンドを紹介。トレンドをマーケティングと異文化理解の2つのフレームから読み解きます。

世界で第2位に位置するフランスのブランド力
企業経営において「ブランド」の重要性が説かれて久しいですが、近年、「国や地域」においても国際競争力を高めるため、ブランディングの取り組みが活発化しています。今回はフランスが自国のブランド力を保つ上で実施する、さりげない取り組みのひとつをご紹介します。
世界50カ国のブランド力を測定した「AnholtーGfK国家ブランド指数」(2017)によれば、フランスは2位、日本が4位と、いずれもランキング上位です。
フランスのブランド力は「文化・観光」項目での高スコアが決め手となっており、まず連想されるのがその美しい「歴史的景観」でしょう。中でも、パリ市街地は景観条例で厳格に保護されているため、新しい建築が規制され、建物の多くは築100年超です。
作家志望のアメリカ人男性が1920年代のパリにタイムスリップし、憧れの芸術家たちと交流する日々を描いたウディ・アレン監督の映画『ミッドナイト・イン・パリ』ではないですが、生活する中で、歴史の中に迷い込んでしまったような感覚を覚えることも少なくありません。たまたま立ち寄った店が「世界史に名を残す、著名人が通っていたカフェだった」なんてことも珍しくありません。
パリ市内に点在する「ニセの建物」の役割とは?
歴史的景観を維持しながら、時代に合わせてインフラを整備するのはそう簡単なことではありません …
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