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フランス消費トレンド

サステイナブルに生まれ変わるパリーエシカルなセレクトショップ「Merci」

山本 真郷(FUJIFILM France)/渡辺 寧(ホフステード・インサイツ・ジャパン)

ファッションを中心とした新しいライフスタイルの発信源である、フランス・パリ。パリに駐在する日本人マーケターが街中で見つけた、新しいトレンドを紹介。トレンドをマーケティングと異文化理解の2つのフレームから読み解きます。

パリで始まった小さな消費革命

はじめまして。富士フイルムの山本です。先般、東京本社からフランスの現地法人に異動となり、現地から皆さんのお役に立ちそうなトレンドをご紹介させていただくことになりました。

フランスといえば、日本では高級ブランド品やワインのイメージがありますが、「伝統を守りながら、最先端の流行を創造・発信し続けている」という意味ではビジネス上のヒントもたくさん隠れているように思います。一方、文化や国民性は日本とずいぶん異なるので、異文化理解の観点も踏まえてトレンドを読み解くため、同分野の専門家である渡辺と共にレポートをお届けしていきます。

数年前から「エシカル消費」(倫理的消費)がマーケティングのトピックスとして注目されつつあります。モノを買うときに「社会や環境のためになるか、ならないか」を基準に判断する消費の概念です。

この「エシカル消費」が、パリの感度の高い人々の間で広がりつつあります。こうした流れに一役買ったのは「Merci」(メルシー=ありがとう)という人気のセレクトショップです。店内にはファッション、小物、インテリアなど様々なジャンルの厳選された商品がセンス良く並び、古書に囲まれた居心地の良いカフェも併設されています。特筆すべきは、商品購入代金の一部が必ず寄付に回り、消費者やステークスホルダーを巻き込んで社会貢献活動をしている点です。

創設者はかつてのビジネスでの成功を社会に還元できないかを考え、単純な寄付ではなく、持続的に社会貢献できる仕組みとして「Merci」を立ち上げました。「Merci」という店名には社会全体に対する感謝の意味が込められているのです。

私が商談で同店に初めて訪問した際、コンセプトを司るダニエル・ローゼンストロック氏(アートディレクター)から「寄付行為よりも大切なことは、人々が生き方・暮らしを変えることなんだよ」と優しい語り口で紹介されたことが今でも印象に残っています ...

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