9月27~29日の3日間、シンガポールのサンテックシティで「スパイクスアジア2017」が開催された。今年は計20部門に23カ国から4301点(昨年は5132点)の応募作品が集まり、449点が受賞を果たした。ここでは、5つの部門でそれぞれグランプリを獲得した事例を紹介する。
01 フィルム部門 グランプリ
子どもの代わりに愛犬を!シニア向け里親募集
ペディグリー「Dog Adoption」
フィルム部門のグランプリを受賞したのは、ペット用品ブランド「ペティグリー」がニュージーランドで実施した、保護犬の里親募集キャンペーンのシリーズCMだ。
子育てを終え、娘や息子が巣立った家で寂しい思いをしている親世代をターゲットに、「子どもが独立したら犬を飼おう」という大胆な提案をした同キャンペーン。特設サイトにアクセスすると、子どもの名前や髪の長さ、性格や食欲、居住地などを入力することができ、その人にぴったりの犬を紹介してくれるというものだった。
「失った何かを、別のもので埋め合わせたい」というインサイトを掴むとともに、インパクトのある動画やアクションにつなげやすいWebサイトを組み合わせたことで、話題化だけでなく具体的な成果にもつなげることに成功し、キャンペーンはさまざまな国際広告賞で高い評価を受けている。
韓国発の国際広告賞「釜山国際広告賞(AD STARS)2017」では、各部門のグランプリ受賞作品の中から特に秀逸なものに贈られる「グランプリ・オブ・ザ・イヤー」を受賞。
カンヌライオンズ2017では、インテグレーテッド部門、メディア部門、ダイレクト部門でゴールド、プロモ&アクティベーション部門、ダイレクト部門でシルバーを受賞した。
「Hard Man to Impress」「Scared」「Treehouse」の3編からなるCMは、キャンペーン全体の企画設計の緻密さを感じさせないエモーショナルな演出が魅力。子育て時代を懐かしむナレーションから始まり、かつては子どもに向けていた愛情を、現在は愛犬に対して惜しみなく注いでいる様子をコミカルに描く。我が子以上にワンちゃんにメロメロになっている親たちの姿に、思わず笑いがこぼれそうになる。
良い企画を広く世の中に届け、人々の行動を喚起する上で、映像による感情喚起が重要であることを証明したと言える ...