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ワールド・レポート

カンヌライオンズ2017、独立3アワードに注目

カンヌライオンズでは、「フィルム」や「モバイル」など全21部門からなる本賞のほかに、テーマ毎に独立した3つのアワードが開催される。医療・ヘルスケア分野の「ライオンズヘルス」、音楽やエンターテインメント分野の「ライオンズエンターテインメント」、テクノロジーやイノベーションに特化した「ライオンズイノベーション」。各部門のグランプリ受賞作品を紹介する。

01 ライオンズイノベーション
イノベーション部門 グランプリ
暴力と貧困の象徴を、平和の種に変える

IM Swedish Development Partner「THE HUMANIUM METAL INITIATIVE」

イノベーション部門およびクリエイティブデータ部門で構成される、ライオンズイノベーション。イノベーション部門のグランプリを受賞したのは、何と「金属」。物質そのものではなく、その生成方法と目的が革新的と評価された。「HUMANIUM(ヒューマニウム)」と名付けられたこの金属は、世界中に出回る不法所持の銃を回収・リサイクルしてつくられている。

世界では年間50万人、つまり1日に1500人もの人が銃による犯罪で命を落としており、年間4000億ドル(約44兆円)の経済的損失を生んでいる。その影響は、特に発展途上国において深刻なものだ。

こうした状況を受け、貧困などの社会問題に取り組むスウェーデンのNPO「IM」は、銃の根絶を目的にヒューマニウムの生成を開始。銃から取り出した鉄を、日用品のサプライチェーンに組み込んで商品化するというプロジェクトだ。

展開地域はホンジュラス、ベネズエラ、スワジランド、グアテマラ、コロンビア、フィリピン、南アフリカ、メキシコ、ジャマイカ、ブラジル、パナマといったアフリカや中南米、東南アジアの国々。

接収した銃を解体、鉄が含まれるパーツを集めて溶解し、ヒューマニウムを鋳造する。そして、主旨に賛同した貴金属メーカーや時計メーカー、デザイナーなどに卸売りし、ヒューマニウムを使ったコラボレーション商品を製造・販売する。最終商品の販売収益の一部をレベニューシェアし、さらなる銃の接収に充てる ...

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