韓国第2の都市・釜山で開催される国際広告賞「釜山国際広告賞(AD STARS)」は、今年で10回目の節目を迎えた。応募作品数は、世界約70カ国から2万点以上と過去最多を記録。ここでは受賞作品の中から、特に高い評価を受けたものを紹介する。

01 グランプリ・オブ・ザ・イヤー
大胆提案!子どもが独立したら犬を飼おう!
ペディグリー「Pedigree Child Replacement Programme」

各部門のグランプリ受賞作品の中から、特に秀逸なものに贈られる「グランプリ・オブ・ザ・イヤー」に選ばれたのは、ドッグフードブランド「ペディグリー」がニュージーランドで実施した「保護犬の里親募集キャンペーン」だ。
と言っても、ただ「社会に良いこと」「動物愛護」と謳い、里親になることを一方的に勧めるものではない。子どもが独立し、寂しい思いをしている親たちに対して、大胆にも「子どもが出て行ったら犬を迎えよう!」と提案するのだ。子どもが独立し、お金にも時間にも余裕が出た45~75歳の人々の中は、心にぽっかりと空いた穴を埋める何かを探している人も多い。そんな人たちに、自分の子どもに似ている犬を養子に迎える仕組みを提供した。
特設サイトにアクセスすると、子どもの名前や髪の長さ、性格や食欲、居住地などを入力することができ、その人にぴったりの犬を紹介してくれる。また、古くなった子どもの服を犬用に加工するサービスも実施する徹底ぶりだった。
結果、里親募集への問い合わせは824%増加。6週間で過去2年間の総数を上回ったという。また、ペディグリーのセールスも16%向上することに成功した。保護犬の引き取り手となり得るターゲットの「失った何かを、別のもので埋め合わせたい」というインサイトを掴むとともに、インパクトのある動画やアクションにつなげやすいWebサイトを組み合わせたことで、話題化のみならず具体的な成果にもつなげることができた。
カンヌライオンズ2017でも、インテグレート部門、メディア部門、ダイレクト部門でゴールドを受賞するなど高く評価されたプロジェクトである ...