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マスメディア全盛時代! 昭和のブランド力を生かす

ディノス・セシール、流暢なフランス語フレーズを 23年ぶりに復活させた狙い

昭和において確立したブランドは、現代においてどのように活用できるのでしょうか。かつて話題を集めたテレビCMのフレーズを再活用したディノス・セシールの取り組みから考えます。

テレビCMでは、同社のブラジャー「Tシャツみたいなブラ」を紹介している。この商品は、顧客へのヒアリングの中で、肌の弱さからTシャツの上にブラジャーをしている人がいることを知ったことから開発された、Tシャツ素材の肌に優しいブラジャー。「当社のお客さまに寄り添う姿勢がもっとも伝わる開発ストーリーということでテーマにしました。商品告知だけでなく企業の姿勢が伝わるように企画しています」(柴氏)。

流暢なフランス語フレーズ 23年ぶりに復活が話題に

「Il offre sa confiance et sonamour(イロッフル・サ・コンフィアンス・エ・ソナムール)」—テレビCMから流れる流暢なフランス語を、覚えている人も多いかもしれない。通信販売会社のセシール(現在:ディノス・セシール)が1983年(昭和58年)から1994年(平成6年)にかけて放映していたテレビCM内で使われていたフレーズだ。当時このフレーズが「何を言っているのか分からない」「日本語の別の言葉に聞こえる」と話題になり、今でもセシールと言えば、このフランス語を思い出す人もいるくらいだ。

ディノス・セシールは2017年5月、このフレーズを復活させたテレビCMを東京・名古屋・大阪エリアで放映した。2004年にスポットCMで一時的に活用したことがあるが、本格的に使用するのは実に23年ぶりとなる。同社がフランス語のフレーズを復活させたことがSNSを起点に話題となり、ネットメディアでも紹介された。

なぜこのタイミングで、かつてのフレーズを復活させたのか。今回のテレビCMを手掛けたディノス・セシール セシールマーケティング部の柴美緒氏は、「フレーズの意味は、『愛と信頼をお届けします』です。時代に合わせて当社も変化していますが、お客さまの声を聞いて、寄り添うものづくりをするというブランドの姿勢は変わりません。その根幹にある思いを新しい形で伝えられるのではないかと企画しました」と語る。

また「テレビCMの放映前から、空耳フレーズ(実際は違うが、別の意味に聞こえる言葉)として話題にしてくださる人が多いことは知っていました。人は『復活』というワードに興味を持ちやすく、懐かしさから関心を持ってもらうことが狙いでした」という。昭和から平成初期にかけて築き上げたフレーズへの認知度の高さを、テレビCMに関心を持ってもらうための注意喚起に活用したのだ。

テレビCMで成長した会社 脱・過去のブランドという課題も

セシールは1972年に創業し、80年代にカタログ通販を軸に成長 ...

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