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ロングセラーブランドのコミュニケーション戦略

日産自動車「スカイライン」は、なぜ愛称のある車になれたのか

日産自動車「スカイライン」

(左)1957(右)2017

日産自動車「スカイライン」は、2017年4月24日に60周年を迎えた。1957年の高度経済成長期、自動車が大衆に普及していくタイミングでプリンス自動車(1966年に日産自動車と合併)から発売。スカイラインという名前は、「山並みと青空を区切る稜線」という意味で付けられた。現在の日産自動車の車種の中で、最も長い歴史を持つモデルだ。

「スカイライン」を担当する同社 日本マーケティング本部の遠藤祐貴氏は、「当時、スポーツカーにしか付いていなかった技術を初めて採用するなど、最新技術が導入された車でした。現在の我々も『ニッサン・インテリジェント・モビリティ』を掲げて技術を打ち出していますが、まさに『スカイライン』はそのDNAを持った車です」と話す。

スカイラインの名前を一躍、世の中に広めたのが1972年に発売された4代目だ。「ケンとメリーのスカイライン」というキャッチフレーズのテレビCMが大ヒットし、人気が沸騰。「スカイライン」も「ケンメリ」の愛称で呼ばれ、累計販売台数はシリーズ最大となる66万台を達成した。その後の5代目は「日本の風土が生んだ、日本の名車」を掲げて「ジャパン」と呼ばれ、6代目は俳優のポール・ニューマンをCMに起用して話題を集め、広告キャンペーンを軸に大衆車として受け入れられていく。

同じく「スカイライン」を担当する近藤啓子氏は、「これだけ愛称で呼ばれる車も珍しいと思います。それだけ、お客さまの生活に『スカイライン』が結びつき、その魅力がしっかり届いていたということの表れです」と話す。

しかし「スカイライン」が、日産自動車を代表するモデルに成長していく一方で課題も生まれる。20世紀に築いたイメージが強く、現行のモデルに対する理解がどうしても弱くなってしまうのだ。2014年に発売した、現在の13代目はポジショニングをプレミアムセダンに舵を切り、車体のエンブレムも同社の高級車に付けられる「インフィニティ」に変更している。

「『スカイライン』には歴史という資産がありますが、新しいイメージも定着させていく必要があります。継続して長く愛され続けていくためには、常に進化しなければいけません」(近藤氏)。

そこで、60周年を期に「スカイライン」の現行モデルの理解を促進させるための広告やイベントを開催。さらに、大相撲で懸賞幕を同社として初めて掲出するなど、接点を拡大させていく施策に取り組んでいる。

視点01 商品
13代目に受け継がれていく技術

初代「スカイライン」は、東京・日比谷の宝塚劇場で発表会を開催し、デビューを飾った。プリンス自動車の前身は飛行機の製造会社。その技術者たちの熱意が込められていることを、ファンは伝説のように語っている ...

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