若年層の男性を中心に、運動や仕事の後の栄養ドリンクとして長く支持されてきた。今年、15年ぶりにテレビCMを再開している。

(左)1992(右)2017
炭酸飲料「デカビタC」は2017年、発売から25周年を迎えた。商品開発のきっかけは、担当者が塾に向かう小学生が競合企業の栄養炭酸飲料を2本まとめて持っている姿を見たこと。当時は100ml前後の瓶が定番商品で、その小学生にとっては1本だけでは足りなかったのだ。
そこで生まれたのが、当時としては異例の210mlを実現した「デカビタC」。ネーミングも大容量という価値がストレートに伝わるように、「デッカイビタミンC」から付けられた。メインのターゲット層は中高生と20代の男性。運動や仕事の後の栄養補給のシーンに飲んでもらう狙いだ。
それが発売と同時に大ヒット。「当時は、一般に浸透している栄養素はビタミンCぐらいしかありませんでした。それがたくさん入っていることが、シンプルに伝わったことがヒットにつながった要因です」(サントリー食品インターナショナル 食品事業本部 ブランド開発第二事業部 課長 阿部泰丈氏)。広告には、競合ドリンクがプロ野球選手を登場させていたこともあって、差別化を図り、人気Jリーガーを起用。Jリーグが開幕した年で注目を集めていたこともうまく機能し、翌年には1000万ケース以上を出荷した。
そうして順調にスタートをきったが、2000年代初頭に入ると伸び悩む。栄養ドリンク市場全体が下降傾向になり、「デカビタC」も同様の憂き目にあったのだ。そこで広告展開も縮小し、テレビCMも2002年にストップした。ところが、2000年代の後半に栄養ドリンク市場が活性化しだす。
ペットボトルの栄養炭酸飲料や缶タイプのエナジードリンクが、消費者から支持され始めたのだ。「デカビタC」も2006年にコンビニチェーン限定のボトル缶タイプを発売すると、予想以上の売れ行きを見せた。そして、2011年に満を持して500mlのペットボトルの「デカビタC ダブルチャージ」を発売。それ以来、右肩上がりに成長している。
発売から25年間、商品のポジションは変えていない。たっぷりビタミンCを補給できる、明るく元気な栄養ドリンクというポジションをキープしてきた。「炭酸飲料らしい"ゆるさ"と栄養ドリンクらしい"まじめさ"の間のポジショニングを取ることで、ジュース感覚で飲める気軽な栄養ドリンクというブランド立ち位置が長く支持されてきた理由だと思います」(阿部氏)
2017年には15年ぶりにテレビCMを再開。瓶の認知度は高いが、ペットボトルはその半分にも満たない。そこで今回のCMでは、ペットボトルに焦点を当てている。
視点01 製品
25年間で一度だけリニューアル
「デカビタC」の何よりの特徴は、ビタミンCはじめビタミンB郡など複数のビタミンとローヤルゼリーエキスを含んだ大容量のドリンクであること ...