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宣伝担当者が知っておきたいクリエイティブの基本

歴史あるダイレクトマーケティングはデジタル時代の今も応用できる有効な施策

博報堂プロダクツ ダイレクトマーケティング事業本部 望月洋志氏

テレビCMからソーシャルメディアの投稿まで、消費者との接点が格段に増えたことで、おのずと広告・コンテンツ制作が必要とされる場面も、そのバラエティが広がっています。担当者自らに制作スキルが求められるもの、外部のパートナーのディレクション力が求められるものがありますが、本特集では双方を織り交ぜながら、1年にわたって、特にアウトプットの完成度を高める実践的ノウハウ・考え方を解説していきます。

ダイレクトマーケティングの基本

顧客一人ひとりに合った情報やコンテンツを直接届けるダイレクトマーケティングは、目の前の顧客はもちろんのこと、自社ブランドのことも真に理解する必要があります。企業から伝えたい情報を適切な相手に届け、自社やブランドのファンになってもらうにはどうしたらよいのでしょうか。受け手の五感に訴え、成果をあげるダイレクトマーケティングの戦略からクリエイティブ制作のポイントをまとめました。

    ダイレクトマーケティングのここがポイント!

  • 各メディア特性を活かしたクリエイティブをつくる。
  • 目的や使い方によって効果が異なる。しっかりした見極めが必要。
  • 単発のアプローチで購買が難しければ、計測可能なアクションに誘導する。

デジタルの進化に伴い ダイレクトマーケティングを見直す

デジタルによるマーケティングの進化で、さまざまなデータの取得や分析、活用が簡単になり、ダイレクトマーケティングのやり方が広範囲で応用できるようになりました。「データの活用や、分析結果によってセグメントしたターゲットにどうアプローチをすれば良いのか」「顧客との関係の構築・再構築の方法」「ダイレクトマーケティングの手法や考え方はどう応用できるのか」といった相談がこの数年で急増しているように思います。

ここでは従来のダイレクトマーケティングの手法を整理しながら、今の時代にあったやり方に、どう上手に活用できるのかについて考えたいと思います。

ダイレクトマーケティングは、1960年代にレスター・ワンダーマンが発表した「勘に頼るのではない科学的なアプローチ」をきっかけに広く普及するようになりました。

有名な『Being Direct:Making Advertising Pay』(邦題:『ワンダーマンの売る広告』)は、ダイレクトマーケティングの考え方が数多く詰まった名著です。その中で紹介される「ダイレクトマーケティングが成功するための19のルール」は普遍的なものであり、今なお有効なものばかりです。彼が発明したいくつかのダイレクトマーケティングの手法は、この時代にあったやり方で上手に応用すれば、今でも高い効果が出るものとなっています。

目的や用途別の効果に期待 ダイレクトマーケティングのツール

従来から使われてきたダイレクトマーケティングのツールだけではなく、デジタルの普及によって、メールやバナー広告、SNSやアプリなどの新しいメディアでのアプローチも急増しています。どれが最も良いという解はなく、目指す目的や使い方によって期待できる効果が大きく変わります。

(1)テレビ・ラジオ媒体

「多くのリーチが獲得できる」「映像や音声による解説でわかりやすく説得できる」「今申し込まなきゃという気持ちにさせる」などの特徴があり、特に映像や音声の説得力はインパクトが強く、短期間で量を獲得したい際に高い効果を発揮する媒体です。

(2)新聞広告・折込チラシ

「インパクトのある表現でそれなりのボリュームにリーチ可能」「シニア世代にも幅広くリーチできる」「納得度の高い説明が可能」「保存可能で比較的検討が必要な商材にも向く」「テストマーケティングがしやすい」「クリエイティブ評価がしやすい」などの特徴があります。

面積次第ですが視覚的にインパクトがあるクリエイティブも可能で、地方紙でのコピーや訴求軸のテストマーケティングでも使い勝手が良いことが特徴です。折込チラシでは配布エリアを購読者の特性で絞り込んだり、量の調整が可能な点が強みです。

(3)DM・メール広告

「個人の状況に応じた内容でカスタマイズして送付が可能」「送るタイミングを一律ではなく個人の状況に合わせて送付が可能」など、個別に接客をするようにアプローチできる点が強みです。他の媒体と異なり、個人単位での効果検証ができることも特徴です。

(4)SNS

「既存媒体とは異なり個人が発信するツール」「所属コミュニティでの拡散力がある」という特徴の一方、媒体毎の個性が強く一括りにすることは本来難しいので便宜上の分類です。既存の手法と比較するとユーザーの生の声を拾えるというこれまでにない大きな特徴があります。

また、生活者のSNSでの発言を調べ、自社の商品やサービスがどう受け入れられているかを確認することにも使われます。若年層は、企業が発信する加工された情報ではない生の評価が知りたいと、検索エンジンではなく、TwitterやInstagramでの検索を使うことが多いとも言われています。

(5)スマートフォンアプリ

「アプリの特性を活かし、使いやすいサービスがつくりやすい」「各種データとの連携でお客さまへ個別に接客ができる」などの特徴があります。もちろんWebでも使いやすさの追求はできるのですが、アプリの方が向いていることがたくさんあります。

企業側からお客さまにお知らせを送りたい場合、Webではメールアドレスの取得が必須で心理的・作業的なハードルがあがりますが、アプリではPUSH通知を許可するだけで良いので、登録率が比較的高い傾向があります。

何より、アプリで新しい価値を提供することで「これまでつながることが難しかった顧客とつながる」ことが簡単になったことが特徴です。

(C)123RF

ツールの特性にあったクリエイティブをつくることが重要

これはダイレクトマーケティングに限らず言えることなので、今さらという話ではあるのですが、それぞれのメディア特性を活かしたクリエイティブをきちんとつくることが重要です。

効果が明らかに変わる例に、ラジオ広告があります。パーソナリティとリスナーの心理的な距離が近いことが多いので、リスナーに支持されているパーソナリティが商品を説明し、オススメをすると全く効果が違います。

一方、新聞は「信頼性」「安心・安全」の表現などに向いており、きちんとしたエビデンスを出すことが効果的です。それぞれのメディアでの「世界観・文脈」は大変重要で、LINEなどで毎日チラシを連発するだけだと、すぐにブロックされてしまうでしょう。Instagramにユーモアもセンスもない写真ばかり投稿していても同様です。

上記以外にダイレクトマーケティングのクリエイティブとして特に意識していることは以下の3点です。

・「私が買う理由」に答えること

一瞬の衝動買いだけで買わせる広告は、継続しません。理性と感性の両方が納得に至るプロセスを提示する必要があります。広告の勢いなどで半ば強制された行動にはあとから不満がでて解約につながることがありますが、自ら納得して行動したものには比較的不満が出にくいためです ...

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