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ロングセラーブランドのコミュニケーション戦略

少女漫画のイメージから誕生した着せ替え人形「リカちゃん」が発売50周年 近年は大人向けブランドも展開

いつの時代も、その時代の少女たちの夢や憧れを体現してきた「リカちゃん」。発売から半世紀が経ち、近年では『大人の女性』をターゲットとした展開にも力を入れている。

(左)1967(右)2017

幼少期に人形を使った着せ替え遊びや、"ごっこ"遊びをした思い出を持つ女性は多いのではないだろうか。タカラトミーの「リカちゃん」は、祖母・母・娘の三世代にわたり愛され続けている着せ替え人形だ。発売は1967年、今年50周年を迎えた。日本の子どもたちが初めて手にした着せ替え人形は、1962年に発売された米マテル社製の「バービー」。ほぼ同時期に米アイデアル社からは「タミー」が発売されるなど、複数の人形が相次いで登場した。

欧米人をモデルにつくられた人形ではなく、日本の女の子が本当に憧れ、夢を感じる世界観を持つ人形をつくりたい。タカラ創業者の佐藤安太氏は、そう考えたという。日本の女の子の夢や憧れはどこにあるのかと探求した結果、たどり着いたのは少女マンガの世界だった。初代リカちゃんの大きな瞳やはかなげな表情は、少女マンガのヒロインをイメージしている。

リカちゃんの最も大きな特徴は、「ストーリー性」を持たせたことにある。「フランス人で音楽家のパパと、日本人でデザイナーのママの間に生まれた、香山リカという11歳の女の子」と、発売当初から、名前や年齢、家族のプロフィール、性格などを設定。そうすることで、子どもたちが感情移入して、遊びながらどんどん物語を広げていきやすくなると考えた。

リカちゃんの累計販売数は6000万体以上。長年にわたり愛され続けてきた理由は、常に時代や流行を反映した商品を展開してきたからだろう。着せ替えの衣装はもちろん、人形本体も時代に合う顔立ちや髪型・髪色を意識し、リニューアルを行ってきた。現行モデルは1987年発売の4代目リカちゃんで、丸顔と垂れ目気味の瞳、少し明るめの髪色が特徴だ。時代のトレンドを捉えたリカちゃんは、常にその時代の子どもたちに「なりたい自分」を見つけるきっかけを提供してきた。

「近年は、リカちゃんと共に時代を歩んできた大人の女性にも愛されるブランドを目指している」と話すのは、社長室 広報課の村山麻衣子氏。2015年に発売した大人向けブランド「LiccA」は、第一弾の初回1000体が予約受付開始3日で完売するなど大きな反響を呼んだ。2016年には、リアルクローズを着た「リカビジューシリーズ」を展開して母娘ファンを獲得。子どもの数が減少する時代を見据え、大人のファンを視野に入れたブランド戦略を展開することで、次の50年を切り拓こうとしている。

視点01 商品開発
女の子の"憧れの世界"をつくり上げる

リカちゃんは、子どもが自ら遊び方をつくっていきやすいよう、システマチックなつくりになっている。着せ替えの衣装、家族、友人、ペットのほか、ドリームハウスや、お姫様が使うような「姫家具シリーズ」、電動自動車、ショッピングモールなど、子どもたちが憧れの世界で遊べるようなアイテムを数多く展開してきた ...

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