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米国広告マーケティング事情

「現実離れした体験を」増え続けるVRキャンペーン

松本泰輔

VR(仮想現実)を利用したマーケティングは制作費とヘッドセットのコストが高いことから伸び悩んでいた。しかし、昨年末には高性能ヘッドセットが手頃な価格(3万円前後)で発売されるなど、消費者の注目も高まっている。最近ではVRキャンペーンを仕掛ける企業が増えている。

VR映像を読者100万人に無料体験

(1)ニューヨーク・タイムズ「Seeking Pluto's Frigid Heart」

ニューヨーク・タイムズのVRアプリ内に掲載されたビデオ「Seeking Pluto's Frigid Heart」。9年半かけて到着した人工衛生が収録した映像から、冥王星の岩場や氷に覆われた山々が見て取れる。

2015年11月、ニューヨーク・タイムズ紙は約100万人の読者に「グーグルVRビューアー」を無料配布した。グーグルが2014年に発売開始したVRビューアーはスマホに装着すると3D映像を360ºで見ることができる。

同時にNYタイムズはVR用アプリをリリースし、VR映像の提供を開始した。翌年にもビューアーは二度無料配布され、同紙のVR映像は現在30本以上に増えている。特に昨年4月には、同紙とNASAその他数社で制作したVRビデオ「Seeking Pluto's Frigid Heart」(1)のプロモーション用に30万世帯にビューアーが配布された。

人工衛生が9年半かけて到着した星で撮影された7分半のフィルムでは、冥王星の岩だらけの表面や連なる山々を覆う氷、さらに地球以外の星から見る月など「人類未踏の冥王星、初上陸」を3D+360º動画で堪能できる。また、紛争で家を失った子ども3人を取材したドキュメンタリー映像「The Displaced」(2)もリリースされ、昨年カンヌではエンターテインメントとモバイルの二部門においてグランプリを獲得、見事二冠を達成した。

さらにLenovo SoftwareもグーグルVRビューアーを使用し、同社YouTubeチャンネル内のVRビデオを愉しむことができる。また、昨年6月のトレードショーでは …

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