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超・コピーライター

地域活性とコピーライター:コミュニティデザイナー・山崎亮 × 電通・梅田悟司

コミュニティデザイナー・山崎亮 × 電通・梅田悟司

世の中の変化に合わせて、コピーライターが活躍する機会は増え、領域は広がり続けています。「ソーシャルメディア時代」「地域活性」「デジタル」「若者心理」「働き方改革」という5つのキーワードを立て、各領域の有識者の皆さんとの対談を通じて、これからの"コピーライター"に求められる役割を考えました。

Theme

"地域活性" X コピーライター

コミュニケーションを前提にしない

梅田:僕はいつも、自分が実際にやっていることと、「コピーライター」という肩書きがフィットしていないと感じています。そのため、会社では「コピーライター」「クリエイティブディレクター」ですが、社外では「コンセプター」と名乗ります。「コピーライター」と言うと"ありがたいお言葉"を授けてくれる人、という印象があるからです。もちろん最終的に言語化する役割は担います。

しかし本当に重要なのは、言葉を導いていくプロセスのはず。なので、一緒にコンセプトを考える人として、「コンセプター」ですね。広告界には「コミュニケーションデザイナー」という肩書きがあります。我々の役割を的確に捉えていると思う一方で、僕個人のなかには「コミュニケーションを前提としない部分にこそ本質がある」という思いがあって。コミュニケーションを前提とすると、どうしても伝えるべき相手の存在が出てきますよね。

そして、納得・評価して欲しいという思いが先行してしまう。僕が重視しているのは「本当はこの会社って、何をすべき会社なんだっけ?」「この商品は何のために世の中に生まれたんだっけ?」「自分は何のためにこの会社で働いているんだっけ?」から一緒に探ること。こうした存在意義って、コミュニケーションの手前にあるべきで、そこから一緒に考えたいんです。

山崎:僕は「コミュニティデザイナー」と名乗ることが多いのですが、「コミュニケーションデザイナー」とよく間違われます。僕がやりたいのは「地域の人たちと一緒に、有形・無形の未来をデザインしていくこと」。病院を建てる、公園をつくる、テーブルをつくる……何でもいいのですが、それを専門家だけで進めるのではなくて、地域の人たちと一緒につくる。「どんなものがあるといいと思う?」「出来上がったら、どう使いたい?」といった話をしながら、形にしていきます。

すると、完成するタイミングにはすでにファンがいる状態になるんです。「コミュニティデザイナー」と言うと、一見「コミュニティをデザインする」という何だか難しそうなことのように聞こえますか、込められているのは「コミュニティとともにデザインしていく」という意味です。

―「中にいる人」を巻き込んでいく、インナーブランディング、インナーコミュニケーションのようなお仕事ですね。

梅田:地域が活性化していくための「種」を、どうつくるかということですよね。最近では地域ブランディングの仕事にも携わることが多いのですが、そこに至る経緯があります。僕はこれまで、企業コミュニケーションを多く手がけてきました。そこで実感したのは、企業コミュニケーションには、「外に向かう」=生活者に見てもらう側面と、「内に向かう」=社内で「自分たちがやっていることって大事だよね、意味があるよね」と認識してもらう側面の2つがあり、そのどちらも満たさないと、いい結果は得られないということです。

広告会社やクリエイターは、「世の中の話題になる」「商品が売れる」など、外に向かうことを重視します。もちろん、それが本来の目的なのですが、インナーが納得していなかったり、盛り上がらなければ、どんなに話題になっても意味ないよね……と。広告は、出稿期間が終わったり、方針が変われば、世の中から姿を消します。その一方で、インナーにはずっと残り続け、企業文化を形づくります。そのためジョージアの「世界は誰かの仕事でできている。」のキャンペーンでは、世の中に出すよりも先に、社内でのメッセージ浸透を図りました。

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