「第54回宣伝会議賞」で新設された中高生部門では、若い感性を生かした瑞々しいコピーアイデアが多数集まりました。ここでは、グランプリ、協賛企業賞、審査員特別賞を受賞した高校生3人が集まり、いまの彼らがイメージするこれからのコピーライター像について語ってもらいました。

(左から)
第54回宣伝会議賞 中高生部門 グランプリ 山本友和賞 受賞・田中崇貴さん
第54回宣伝会議賞 中高生部門 協賛企業賞 受賞・石川実乃里さん
第54回宣伝会議賞 中高生部門 白岩玄賞 受賞・石田茉恵子さん
―皆さんは「コピーライター」という職業に対してどんなイメージを持っていますか。
石川:他の職業と違って、どんなことをする職業なのかが掴みにくいです。ネットで検索しても情報が少ないし、どうすればなれるのかも分からないし…。でも自分なりに考えると、"言葉の技術者"のようなイメージです。
石田:私は、ひたすらずっと言葉を探しているイメージです。コピーの依頼主のクライアントさんに合うもの、コピーを書く対象となる商品に合うもの、自分が書きたいことが合致する言葉を。
田中:もともと両親が広告業界で働いているからか、ずっと広告に興味を持っていました。僕の中でコピーライターといったら、糸井重里さん、仲畑貴志さんで、その頃のコピーが好きです。電車内とかで最近の広告を見ていると、昔ほどハッとする感じはないけど、コピーの中に技術があるんだろうなぁと漠然と思っていたりします。でも石川さんと同じで、具体的に何をしているのか分からない。
―そういうイメージを持ちつつ、石田さんと田中さんは将来コピーライターを目指しているとのことですが、その理由は何ですか。
田中:コピーの勉強をしたり自分でも実際に書いてみたりする中で、勉強や他の分野で1位になるのは難しいと悟っているけど、言葉でならもしかしたらいけるかも…と、尖った自信を持っていてもいいのかなって(笑)。コピーのフィールドで勝負できるなら面白いと思ったんです。
石田:きっかけは、テレビ番組で芸人さんが商品のコピーを考える企画をやっていたのを見て、コピーライターという仕事があるのか、面白いなと思ったから。でも今回、宣伝会議賞に取り組んだことでその気持ちが強いものになりました。と言うのも、つい最近人生の中で一番悔しい!!と思う体験をしまして…。
それが、学校の帰りに本屋に寄って開いた『宣伝会議』で「中高生部門」の受賞者発表のページを確認した時なんです。グランプリ、準グランプリ…と発表が続くページの最後に自分の名前があるのを見て、同世代でこんなに面白いコピーを考える人がいることと、言葉で勝負をしたのに自分はグランプリを獲れなかった感情とかが入り混じった。この感覚は忘れないようにと、その悔しい気持ちと、選んでくれた嬉しさを手帳に残しました。 いつか、この時がコピーライターとしての私の原点ですと言えるようになりたいなって。

グランプリ
"本気で殴りたい政治家ができました。"
読売中高生新聞/なるほど!10代が思わず新聞を開きたくなるキャッチコピーを、どうぞ。
山本友和賞
"やーい、ラジオ童貞。"
radiko/ラジオを聴かない人に、ラジオを聴いてもらうためのコピーを考えて下さい。
―宣伝会議賞に応募したコピー作品はどうやって書いたのでしょうか。
田中:谷山雅計さんの本を読んだりして、審査に通りそうなものをある程度狙って書いたかもしれないです。まずはどの課題も商品の特徴と、良いところ、悪いところを書き出して、アイデアを散らばしてから、それに閃きが飛び付く感じで書いていました。
石川:河合塾の課題で受賞させてもらいましたが、私自身は塾には行っていないからネットの情報で考えるしかなかった。それでホームページを見ていたら、河合塾って個別ではなくて授業形式で先生と距離が近い点が推したいポイントなんだなと思ったので、それが伝わるようなコピーを考えました。ひとつ納得するようなコピーが書けたら、語尾のニュアンスを変えて同じようなものをたくさん出してみたり(笑)。
石田:賞をもらった読売中高生新聞の課題の場合、「10代が思わず新聞を開きたくなるキャッチコピー」だったので、じゃあ何で皆新聞を読まないのかってことから考えました。そうした時に、国会中継ではスーツを着た大人がごちゃごちゃと何かを話していたり、ニュース番組で日経平均株価について経済評論家が「このままだと日本の先行きが危ない」と話しているのを見て、これって子どもにはよく意味が分からない。新聞も多分、難しいから読まないのかな、と思ったんです。
そのことが、子どもが「何で?」って質問した時によく大人が …