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働き方改革とコピーライター:千葉商科大学・常見陽平×電通・阿部広太郎

常見陽平(千葉商科大学)× 阿部広太郎(電通)

世の中の変化に合わせて、コピーライターが活躍する機会は増え、領域は広がり続けています。「ソーシャルメディア時代」「地域活性」「デジタル」「若者心理」「働き方改革」という5つのキーワードを立て、各領域の有識者の皆さんとの対談を通じて、これからの"コピーライター"に求められる役割を考えました。

Theme

"働き方改革" × コピーライター

働き方改革の本質は「いい仕事をする」ということ

常見:「働き方」について考える際に気をつけたいのは、「いい仕事をしよう」ということを意識することだと思います。「効率化」「時短」と具体的な施策を始める前に、まず「いい仕事って何?」と問い直すこと。その「いい仕事」を実現するために、変えるべきことを変えるのが、「働き方改革」だと捉えたいです。そこで阿部さんに伺いたいのが、今のコピーライターの「いい仕事」ってどんなものかということです。

阿部:僕は、コピーライターの役割は「世の中に旗を立てる」ことだと考えています。新しい概念を提示したり、人々の新しい行動を生み出したり……言葉から概念を生み出すことで、行動が生まれます。自分が携わった仕事で言うと、東進ハイスクールの「いつやるか、今でしょ!」は、テレビCMを起点に、この言葉を知っている多くの人の間にコミュニケーションを生むことができた一例だと思っています。

誰かの背中を押したり、共感の輪が広がったり、一体感を生み出せるような言葉、皆の心の拠り所になる言葉を世の中に提示したいと思っているんです。逆に、言葉自体が研ぎ澄まされた、「洗練された一行」として完結しているコピーは、僕の仕事ではないかもしれないと感じることがあります。

常見:「世の中に旗を立てる」、いいですね!今のお話を伺って、「コピーライター」という仕事に広がりが出てきているのだと感じました。例えば雑誌の編集者も、取材して記事をつくるだけではなく、Web展開やイベントといった立体的な企画を立てたり、雑誌発のムーブメントを起こしたり、一連の取り組みをまとめて書籍化したりといった、「+α」を仕掛けていかなければいけない時代。

広告界に限らず、あらゆる業界で、それぞれの「仕事」が変化し、広がってきています。周辺領域の仕事が増えているし、仕事の提供価値も多様化しているなと感じる場面が増えています。長時間労働の解消や、労働生産性の向上について議論することも大事だけれど、これらの背景には、日本社会が抱え続けてきた構造的な問題もある。そこで立ち止まってしまうのではなく、「いい仕事をするためにどうするか」ということを、もっと議論しようと呼びかけたいんです。

阿部:仕事は、「量」と「質」の両面で捉えることができますが、質をどう高めていくかということが、たしかにあまり議論されていませんよね。

常見:そうなんです。量より質、かけた時間よりも結果。それも一理あるんだけれど、やはり量を積み重ねることで生み出される質もあるのが事実だと思うのです。

―コピーライターには、研ぎ澄まされた質の高いアウトプットが求められますが、その過程では何百・何千というコピーが生み出されていて、それにはある程度の時間が必要ですよね。「時間じゃない、質だ!」という考え方は、コピーライターにとっては難しい要求にも感じられます。

常見:コピーライターという仕事の難易度は、確実に上がっていますよね。社会が分断化し、メディアが多様化する中で、「皆」を動かす言葉を生み出すのは難しいという前提に、まずは立たなければなりません。そこで向き合わなければならないのが、「仕事か、仕事じゃないかわからない、境界線にある仕事」だと思っていて。いわゆる自己研鑽の時間って、勤務時間としては …

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