全米小売業界が年末商戦を予測「前年比3~4%増で最大145兆円」
11月の第4木曜日の感謝祭が終われば、アメリカは本格的な年末商戦へ突入する。National Retail Federation(全米小売業協会)は、2023年米年末商戦の総支出額を前年対比3~4%増の9573億ドルから9666億ドル(143.6兆円~145兆円)と予測している。慣習では「ブラックフライデー・セール」は感謝祭の翌日から始まるものだが、ここ数年、11月初旬から前倒しで年末セールを始める企業が増えている。
米国広告マーケティング事情
アメリカでは食の安全に関する意識が年々高まっている。特にオーガニック食品は2015年に過去最高の397億ドルの売上で、前年対比11%増となった。食品総売上に対するオーガニックの割合はまだ約5%だが、「大都市圏に住むミレニアル世代(20~30代)を中心に伸びは顕著」とオーガニック通商協会(Organic Trade Association)は発表している。それに伴い、レストラン・食品業界では「フレッシュでオーガニックな食材を、農場から食卓へ」を意味する『Farm To Table(FTT)』と呼ばれる動きがトレンドとなりつつある。
食の専門家、オレゴン州立大学フード・イノベーション・センターのサラ・マソー二氏は近年のFTTの流行について「食材は信頼できるものかどうかが大きな鍵。消費者は自分たちが食べる食材をつくっているのは誰かを知り、その人たちを信用したいのです」とニューヨーク・タイムズ紙に述べている。国内最大のオーガニック食品協同組合「Organic Valley」は今年4月に自社サイトを一新。同組合の運営理念や、加盟農家たちが実際にミルク、バター、ヨーグルトなどのオーガニック製品をつくっているところをビデオで紹介している。また消費者が普段購入している製品を選択し、住所のジップコード(郵便番号)を入力すると「あなたが購入している製品はここでつくられていますよ」と農家名と連絡先を教えてくれる。そのため消費者は、大手ブランドのオーガニック・ヴァレー商品は、全米の複雑な流通経路を経て数日かけて店に運ばれているわけではなく、実はすぐ近所でつくられたフレッシュな製品と知り、安心できるのだ。
「新鮮でオーガニックな食材を、農場から食卓へ」-Farm To Tableマーケティングを推進するオーガニック・ヴァレーのWebサイト。自分が食べている食材をつくっているのは誰か-それを知りたがっている消費者に「あなたのミルクやバターをつくっているのは、この農家です」と紹介する。
オーガニック・ヴァレー・ブランドの牛乳をつくっている農家の一日を紹介するビデオ。「オーガニック・ミルクをつくるのに最も大事なのは新鮮で良質の草を牛に与えること。このやり方を、農場を継ぐ子供たちに継承します。あなたの家庭の農家、私の名前はジェフ・ミラーです」つくっている人の素顔を紹介することで、消費者は食の安全性について安心感を得られる。
オーガニック・ヴァレー(1)(2)は、消費者とさらに深くエンゲージするため ...